クリニックレターvol.52 特別編 「高齢者の接種を優先する目的とは」

2021年5月18日

5月17日から、いよいよ東大阪市でも75歳以上の高齢者の方から新型コロナワクチンの集団、個別接種が開始となりました。今回は 「なぜ高齢者から摂取するのか?」ということについて解説いたします。

COV-NAVIという新型コロナウイルスワクチンに関する正確な情報を発信するサイトでも伝えられていますが、高齢者の方へ優先的に摂取していく理由としては、「まずは死亡者数を減らしていくこと」を目的としています。

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新型コロナウイルスによる死亡者の9割以上が60歳以上と、若い人に比べて高齢者は死亡リスクが高く、同時に、重症化するリスクも高いからです。

これは世界的にもスタンダードな考え方であると言われています。
無症状の若年層~中年層の方への接種を抑えていくことも意味はあることではありますが、現段階でのゴールとしては「感染が起こりにくい集団免疫」が目指すべき姿ではあると思われます。

集団免疫とは「何もしなくても感染が広がらない状況」のことを指しています。つまり、マスクを外しても普通に生活ができる状態です。
現在世界の中では、イスラエルがそのような対象になっているそうです。日本でも同じワクチンが接種されていく予定で進んでいますので、同じように感染を抑えることができるようになれば良いと言われています。

※ただし小児から大人への感染も継続してモニタリングしていかなくてはいけないので今回言われている集団免疫が最終ゴールではないとも言われています。


上記の理由から、接種は義務ではありませんが可能な限り接種をしていただくことを推奨いたします。

様々な疑問をお持ちで、接種に対してご不安などある方もいらっしゃるかもしれませんが、かかりつけ医の先生にご相談をしていただければ幸いです。
もしも、かかりつけ医がいないためどうしたらいいのか?わからない方は下記のサイトで情報を得ていただければと思います。

【COV-NAVI HP】
https://covnavi.jp/

また、それほど多くはないと思いますが、コロナに感染した方でもワクチン接種は推奨されています。
体内で自然に出来る抗体もありますが、ワクチン接種した方が再感染のリスクを下げるとアメリカ疾病予防管理センター(CDC)でも明確に発信されています。

1回感染した方が2回目に感染するケースもあるようで、ブラジルでは変異株で再感染のリスクが高まっているという報告もあります。

ワクチン接種による抗体産生については、人それぞれによって違いますが、1回接種で大丈夫とするより2回きちんと接種いただく方が再感染、変異株などの新規感染を防ぐ確率が上がると言えます。

先日、横浜市立大学の研究グループがワクチンを接種した100人余りについて、1回接種後では変異株に対して2~5割程度しか抗体が出来ませんでしたが、2回接種後では9割の人で変異株(イギリス株、南アフリカ株、インド株など)に対して効果が期待できる抗体が体内に作られていたという研究結果を報告しました。

現在も大阪府は、緊急事態宣言が発令中であり、これからも、しかるべき接種の時期が来るまで、不要不急の外出を控えて改めて紐を緩めることなく感染対策を徹底していただけますよう宜しくお願いたします。

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