クリニックレターvol.63「新型コロナウイルスワクチンの4回目接種について」
2022年4月 9日
オミクロンBA.2やオミクロンXEなど、新型コロナウイルスの情報について日々、色々な情報がアップデートされています。現在も第6波が完全に収束せずにくすぶり続けている中、まん延防止等重点措置の解除とともに第7波への突入が現実味を帯びて来ました。そんな最中、日本国内で新型コロナワクチンを追加接種(3回目接種)した人がついに43%を超えました(4/4現在 首相官邸HPより)。
本日は3回目の接種が未だの方もおられると思いますが、4回目接種についてメディアでも取りあげられていますのでトピックとしたいと思います。
海外では先行してアメリカやイスラエル、イギリスなどでコロナウイルスワクチンの4回目接種が始まっています。日本でも海外からのデータを収集した上で検討を進めるという事で「いつ、どのような人が受けるべき」なのか議論されています。
大きな動きとして米食品医薬品局(FDA)で3月29日、新型コロナウイルスワクチンの50歳以上への4回目接種(ブースター2回目)を承認し、同日に米国疾病予防管理センター(CDC)でも、50歳以上、特定の免疫障害がある方※(若年層)を対象に、ファイザー・ビオンテック製もしくはモデルナ製のmRNAワクチンの4回目接種について推奨とするという発表がありました。
※免疫不全の若年層に対する2回目のブースター接種も承認。ファイザー/ビオンテック製で12歳以上、モデルナ製で18歳以上が対象
CDCではオミクロン変異ウイルスが流行していた時期にワクチン接種を受けていなかった人の死亡率が、追加接種を受けていた人と比較して21倍。入院率については7倍の差があったとしています。こうした結果からも「4回目の接種は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化しやすい65歳以上の高齢者、50歳以上で基礎疾患のある人へのメリットが非常に高い」と発表しています。
→CDC資料
どれくらいのタイミングで接種するかについては、アメリカやイスラエルでは3回目の接種後から4か月後に接種されているようです。重症化や入院に対する予防効果を高めることが目的とした場合に接種タイミングを短くした方が良いという見解も出ています。
現在の見解では基礎疾患のある方や高齢者など重症化リスクがある方は、重症化を予防する効果を4回目接種で補っていくことが必要になると考えられていますが、一般の方への接種については、欧米でも充分なエビデンスがなく、接種の有無や接種時期など議論が続いている状態です。
また、現行のワクチンはもともと従来株の予防を目指して開発されたため、オミクロン変異ウイルスに対しては同等の効果が期待できないという背景があります。今後、オミクロン専用ワクチンなどの開発や臨床実験が期待されています。