クリニックレター特別編 「花粉症2024」

2024年3月15日

さて、今年も花粉の季節がやってまいりました。今年は例年と比べて暖冬であり、花粉の飛ぶ時期が例年と比べて早いです。2024年春のスギやヒノキの花粉数は2023年春よりかなり少なくなる見込みとの事ですが、患者さんも連日来院され、花粉症の治療は待ったなしの状態です。今回、2023年4月1日に発信したクリニックレターVo.75『花粉症について』を一部編成し、花粉症2024として、お話しさせていただきます。

【花粉症とは】

花粉症とは、花粉によって人の体内で起こるアレルギー反応のことを指します。症状としてはアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の中でもスギやヒノキなどの春の花粉が原因によるものが多く、主にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血などが起こります。

日々の花粉飛散の情報については下記サイトからもご確認ができますので、是非、ご覧ください。

全国の花粉飛散情報(tenki.jpより)

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【花粉症の原因とは何か】

季節性アレルギー性鼻炎(以後:花粉症)と通年性アレルギー性鼻炎の2つに病気としては分類されています。季節性アレルギー性鼻炎は原因となる花粉の飛ぶ季節に症状が発生します。日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすと報告されていますが、日本では約40%の花粉症患者さんの原因がスギ花粉であると言われています。

通年性アレルギー性鼻炎は「ハウスダスト」や「ペット」「ダニ」などへ反応してしまうため、1年中アレルギー反応を起こしてしまう病気です。

【治療法について】

治療には「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」などがあります。また、症状の原因となる花粉のアレルゲンを回避する環境整備も重要です。

①薬物治療

  1. 鼻の症状、特にくしゃみ・鼻水・鼻づまりなどを抑えるために日本では抗ヒスタミン薬と言われる飲み薬が第1選択薬として使用される場合が多いです。ただ、飲み薬は全身に作用し、抗ヒスタミン薬の副作用である眠気などがあります。近年では眠気の出にくい薬もあるので、ご相談ください。欧米などでは、第1選択薬として、局所的に鼻水、鼻づまりの炎症を抑える点鼻薬(鼻スプレー)が使用され、日本でも多く使用されるようになっています。また、最近では既存の治療で効果不十分なアレルギー性鼻炎に対して新しい注射薬も使用されるようになっています。
  2. 目のかゆみや充血などの症状)には、花粉症用の点眼薬が用いられます。花粉飛散量が増えて症状がだいぶ悪化してくると、目のアレルギー性炎症に対して点眼のステロイド薬を用いる場合もありますが、これについては眼科の専門医を受診して定期診断をすることになります。

②アレルギン舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)

スギ花粉とダニアレルギーに対応すると言われている治療法です。この治療は花粉が流行してからでは遅く、花粉の季節が終わった後、または流行前に開始する治療法です。簡単に言うとアレルギーの原因物質を少量ずつ摂取し、体を慣れさせてアレルギー反応を起こさせなくする治療法になります。治療は年単位でかかる根気のいる治療ですが、薬物療法で副作用が出るために治療が続けられない患者さんや、薬物療法だけでは症状が抑えられないような患者さんでは、免疫療法が良いケースも考えられます。当クリニックでは現在、施行しておりませんので、近隣の耳鼻科、小児科、アレルギー科にご相談ください。

【日常生活で気を付けること】

鼻の洗浄や、鼻の粘膜の保護(鼻をかみすぎたときのケア)、室内の加湿、マスク着用が有効です。花粉やホコリなどの目の異物は洗眼をすることが効果的と言われています。

外出したあとは家の中に花粉を持ち込まないように玄関前で花粉を払い、すぐに着替えて外気に露出した顔などを洗い流しましょう。

【その鼻水は本当に花粉症?】

実は花粉症と鼻風邪の鑑別が困難な場合が多々あります。採血結果や喉の所見など、個々の診察での診断となります。ただ、熱がある、痰の絡む咳があれば風邪の可能性が高いです。花粉症か風邪かの診断は、自分で判断するのは困難ですので、かかりつけの先生と是非、ご相談してください。

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