クリニックレターvol.97 「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」
2024年9月18日
令和6年10月1日から、「長期収載品の選定療養」という新制度が導入されます。皆さんの負担する医療費に直結する非常に重要な制度ですので、どうぞ最後までお読みください。この制度は、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が既に存在するにもかかわらず、患者さんが先発医薬品を選択した場合に、追加の費用が発生する仕組みです。
厚生労働省HPより
長期収載品とは
長期収載品とは、特許(発売から20年~25年程度)が切れて同じ効果のジェネリック医薬品が発売されている先発医薬品のことです。
以下の条件を満たす医薬品が対象となります:
①ジェネリック医薬品が発売されてから5年以上経過した先発医薬品
②ジェネリック医薬品への切り替えが50%以上進んでいる先発医薬品
追加負担の内容
患者さんが長期収載品の先発医薬品を選択した場合、医療上の必要性が認められる場合を除き、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差の4分の1を追加でご負担いただくことになります。
例えば:
- 先発医薬品の価格:200円
- ジェネリック医薬品の価格:100円
- 追加負担額:(200円 - 100円) × 1/4 = 25円(消費税別)
注意点:
- 「特別の料金」は課税対象であり、消費税が加算されます。
- 複数のジェネリック医薬品がある場合は、最も高い価格の後発医薬品で計算されます。
厚生労働省HPより
医療上の必要性とは
医療上の必要性の判断は基本的に医師が行います。以下のような場合が該当します:
1.効能・効果の差異:長期収載品(先発医薬品)と後発医薬品(ジェネリック医薬品)(ジェネリック医薬品)に効能や効果の違いがある場合(使用感などや有効成分等は該当しません)。
2.適切な服用が困難:後発品で適切に服用できない場合。
3.剤形、在庫の問題:剤形が適さない、または在庫がない場合。
4.ガイドライン等での推奨:特定の疾患や状態に対して、長期収載品の使用が推奨されている場合。
先発医薬品とジェネリック医薬品の違いについて
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分で品質、効き目、安全性が同等なお薬です。厳しい試験に合格し、厚生労働大臣の承認を受け、国の基準、法律に基づいて製造・販売されています。ただし、形や大きさ、味や香りなどの有効成分以外の添加剤が異なる場合があります。
最後に
2019年度(令和元年度)の日本でのジェネリック医薬品の数量シェアは69.0%で、アメリカの90%、欧州の約80%と比較するとまだ低い状況です。先発品をご希望される場合には、薬局での追加負担が発生しますが、どうぞご相談ください。