クリニックレター107: ヒトメタニューモウイルス(hMPV)について

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2025.02.03

クリニックレター107: ヒトメタニューモウイルス(hMPV)について

今回のテーマは、呼吸器感染症の一つであるヒトメタニューモウイルス(hMPV)についてです。
生後6ヶ月頃から感染が増え始め、10歳頃までにほとんどの子供が一度は感染するとされるウイルスです。
一度の感染では終生免疫は獲得されず、再感染を繰り返すことで徐々に症状が軽くなっていく特徴があります。
hMPVは新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、マイコプラズマ感染症とは異なり、迅速抗原検査による診断が成人では保険診療の対象外となるため、内科医にとっては診断が難しい感染症の一つです。

最近、中国を中心に「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)」の感染が拡大しているとの報道があり、患者さんからのご質問も増えています。
ただし、このウイルス自体は新しいものではなく、以前より日本でも確認されているウイルス感染症の一つです。本ニュースレターでは、hMPVについて簡単にご説明し、予防策をお伝えします。

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ヒトメタニューモウイルス(hMPV)とは?

hMPVは、2001年に発見された比較的新しいウイルスで、風邪のような症状を引き起こします。
乳幼児、高齢者、基礎疾患を持つ方では、重症化することがあるため注意が必要です。

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)の診断方法

迅速診断キットが最も一般的で簡便な方法です。
鼻腔ぬぐい液や咽頭ぬぐい液を用いて、約15分で結果が判明します。
ただし、hMPV抗原定性検査(イムノクロマト法)の保険適応は2014年1月1日から開始されましたが、6歳未満の患者に限られています。
そのため、小児科を標榜していない内科クリニックでは検査を行っていない施設が多いのが現状です。

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)の主な症状

  • 発熱
  • 鼻水
  • のどの痛み
  • 呼吸困難(重症例)

症状はRSウイルスやインフルエンザと似ており、特に高齢者や基礎疾患を持つ方は、肺炎を引き起こす可能性もあります。

どのように感染する?

hMPVは飛沫感染や接触感染で広がります。感染者の咳やくしゃみを吸い込んだり、ウイルスが付着した手で顔を触れたりすることで感染する可能性があります。

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)の予防策

基本的な感染症予防と同様です。

手洗い・手指消毒

外出後や食事前後にはしっかり手を洗いましょう。

マスクの着用

特に人混みに行く際はマスクを推奨します。

換気を行う

室内の空気を定期的に入れ替えましょう。

体調管理を心がける

十分な睡眠とバランスの取れた食事を意識し、免疫力を保ちましょう。

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ヒトメタニューモウイルス(hMPV)の治療法はあるの?

hMPVに特効薬はなく、症状に応じた対症療法が中心となります。発熱や咳が続く場合、特に基礎疾患をお持ちの方や高齢の方は、早めに医療機関を受診してください。

最後に

現在、日本国内でhMPVの大きな流行は確認されていませんが、今後の動向には注意が必要です。
特に、中国では2025年1月28日から2月5日までの春節(旧正月)期間中に、過去最多となる延べ90億人の大移動が見込まれており、感染拡大が懸念されています。

当院ではhMPVの迅速抗原検査を実施しておらず、確定診断が難しい状況ですが、咳を含めた感染症のご相談を受け付けております。
ご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。

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