クリニックレター
2025.05.01
クリニックレターvol.113 「もしかして口唇ヘルペス?知っておきたいこと」
皆さん、こんにちは、「また口内炎かな?」と思ったら、唇のまわりにピリピリとした違和感...。もしかするとそれは口唇ヘルペスかもしれません。
最近、海外では顔にキスをされたことで、1歳4か月の幼児がヘルペスウイルスに感染し、視力を失ってしまうという痛ましい出来事も報告されています。軽い結膜炎だと思っていたら、実は強い感染力をもつヘルペスウイルスだった、という例です。
今回は、意外と知られていない「口唇ヘルペス」について、わかりやすくご紹介します。
口唇ヘルペスとは?
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が原因で起こる感染症です。
唇やそのまわりに小さな水ぶくれができ、赤み・痛み・ピリピリやムズムズとした違和感を伴うのが特徴です。
実は多くの人が子どもの頃などに感染しており、一度感染するとウイルスは神経に潜伏し、免疫力が落ちたときに再発する可能性があります。
初めて感染したときと再発の違い
初めての感染(初感染)
- 高熱、のどの痛み、リンパ節の腫れを伴うことがあります。
- 水ぶくれが広範囲に出ることがあり、症状が強く出やすい傾向があります。
再発時
- 初感染に比べて症状は軽く、唇まわりのピリピリ感やかゆみのあとに小さな水ぶくれが出現します。
- 発熱時などに再発しやすく、「熱の華」とも呼ばれることがあります。
症状の進行
- 初期症状:唇やそのまわりにピリピリ・ムズムズとした違和感
- 発症期:数時間後に赤みや腫れが出てくる
- 水ぶくれ形成期:2〜3日後、小さな水ぶくれが集まってできる
- かさぶた形成期:1〜2週間でかさぶたができ、徐々に治癒
感染経路と予防
口唇ヘルペスは接触感染が主な感染経路です。水ぶくれや唾液、涙に直接触れることで感染するほか、ウイルスがついたタオルや食器などからも家族間で広がることがあります。飛沫感染はまれですが、起こる可能性もあります。
感染予防のポイント
- 発症中の人との直接的な接触(キス、ほおずりなど)を避ける
- 自分が発症中は患部に触れないよう注意し、触ったらすぐに石鹸と流水で手洗いを
- 手洗い・うがいをこまめに行う
- タオル・食器・コップの共用を避け、使用後はしっかり洗浄する
- 新生児や乳児への接触は特に注意が必要(感染すると重症化することがあります)
- ウイルスはプラスチックやガラスでは数時間、布では1時間ほど生存します。こまめな清掃と衛生管理を心がけましょう
- まれに浴室やトイレを介した感染も報告されています
治療について
ヘルペスは早期発見・早期治療が大切です。症状が出始めたら、できるだけ早く対処しましょう。
抗ウイルス薬による治療
- 外用薬:症状が軽い場合や再発初期に使用。ウイルスの増殖を抑えます
- 内服薬:初感染や重症例に使用。ウイルスの増殖をより強力に抑え、治癒を早めます
※市販の軟膏薬もありますが、自己判断せず早めにご相談ください。
まとめ
口唇ヘルペスは身近なウイルス感染症ですが、繰り返すことがある疾患です。
再発を防ぐには、**日ごろから免疫力を保つこと(十分な睡眠・栄養・ストレス管理)**が大切です。
気になる症状があれば、「ただの口内炎かな」と放置せず、早めにご相談ください。
適切な治療で早く楽になります。