クリニックレターvol.116 「梅雨どきに急増する水虫・爪白癬 ― 6月4日「水虫治療の日」に考える足元の健康」

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2025.06.16

クリニックレターvol.116 「梅雨どきに急増する水虫・爪白癬 ― 6月4日「水虫治療の日」に考える足元の健康」

ジメジメとした梅雨の季節がやってきました。「なんだか足がかゆいな」「指の間の皮がむけてきた」「爪が厚くなって変色している」こんな症状にお悩みではありませんか?
実はこれらの症状は多くの場合「水虫」が原因です。
水虫とは、白癬菌(はくせんきん) というカビの一種が皮膚に感染して起こる病気の総称です。
足にできるものを「足白癬」、爪にできるものを「爪白癬(つめはくせん)」または「爪水虫」と呼ばれています。
なんと、6月4日は「水虫治療の日」として制定されています。「む(6)し(4)」の語呂合わせで覚えやすく、まさに梅雨入り前のこの時期から本格的な対策を始めることの大切さを表しています。

今回は、多くの方が密かに悩まれている水虫について、「そもそも水虫って何?」から始めて、日常生活でできる予防と対策をやさしく解説いたします。

なぜ梅雨に水虫が増えるのか?

白癬菌が最も活発になる条件は 「温度26~28℃、湿度80%以上」 です。まさに梅雨の気候条件そのものです。

白癬菌が元気になる3つの理由

① 高温多湿な環境

しくみ:気温25℃以上、湿度70%以上で菌の活動が活発化
:長時間履いた靴の中、汗をかいた靴下

② 皮膚のふやけ

しくみ:湿気で皮膚が柔らかくなり、菌が侵入しやすくなる
:お風呂上がりの足、雨に濡れた足

③ 感染機会の増加

しくみ:プールや温泉施設の利用が増え、感染リスクが高まる
:公共施設の足拭きマット、共用スリッパ

グラフィックス1.png

ACイラストより

水虫の種類はどんなものがあるの?

足白癬(一般的な水虫)

①趾間型(しかんがた)

症状指の間がジュクジュクして皮がむける、強いかゆみ
特徴:最も多いタイプ、主に第4趾と第5趾の間に好発する

②小水疱型(しょうすいほうがた)

症状:足裏や土踏まずに小さな水ぶくれ、激しいかゆみ
特徴:夏場に悪化しやすい

③角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)

症状足裏全体が厚くなり、ひび割れやカサカサ
特徴:かゆみは少ないが治りにくい、高齢者に多い

④爪白癬(爪水虫)

症状爪が厚くなる、白や黄色に変色、ボロボロと崩れる
特徴:自然治癒は困難、内服薬による治療が必要な場合が多い
注意点:見た目だけでは判断困難、専門的な検査が望ましい

スクリーンショット 2025-06-16 103209.png

ACイラストより引用

水虫予防の5つの習慣

  1. 足は毎日石鹸で指の間まで丁寧に洗い清潔に保ち、洗った後は完全に乾燥させる
  2. 同じ靴を連日履かない、可能なら5本指ソックスの活用。濡れたら靴は2日以上乾燥、靴下は毎日交換
  3. 素足の時間を作る、通気性の良い靴選びをし、履かない時は除湿剤や乾燥剤を入れる
  4. 公共施設のプールや温泉では必ずスリッパ着用、足拭きマットは使用後足を洗う
  5. タオルやスリッパの共用を避け、バスマットをこまめに洗濯・乾燥

※豆知識:洗濯にも"菌対策"が必要です

2024年12月に開かれた欧州皮膚科学会では、水虫の原因である白癬菌に関する新たな報告がありました。白癬菌が付着した靴下を普通の水温(30℃以下)で洗っても、菌が死滅しないことが分かった のです。そのため、感染を広げないためには、60℃以上の高温で洗濯することが推奨されるとのことです。

受診をおすすめする症状

  • 強いかゆみが1週間以上続く
  • 皮膚がジュクジュクして治らない
  • 明らかに爪の変色・変形が進行している
  • 市販薬を2週間使っても改善しない

治療薬はどんなものがあるの?

大きくは市販薬と医療用医薬品の2種類があります。市販薬の特徴としては「塗り薬のみ」であることと、副作用は少ないものの、比較的軽症向きで爪の内側には作用が効きにくい可能性があると言われています。なお、医療用医薬品の特徴としては下の表におまとめしています。

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最後に

梅雨の時期は白癬菌にとって絶好の繁殖シーズンです。正しい知識と日々のケアで十分に予防することができます。
基本的な習慣を大切にし、ご家族みんなで足元の健康を守っていきましょう。
特に糖尿病や免疫力の低下がある方は、小さな傷から重篤な感染症に発展する可能性もあります。「たかが水虫」と思わず、気になる症状があれば早めにご相談ください。
今年の夏を快適に過ごすため、ぜひ今の時期は注意してお過ごしいただければと思います。

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