クリニックレター vol.117 梅雨になるとつらい... それって"気象病"? 天気痛との違いとラクになるヒント

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クリニックレター

2025.06.16

クリニックレター vol.117 梅雨になるとつらい... それって"気象病"? 天気痛との違いとラクになるヒント

皆さん、こんにちは。梅雨入りとともに
「雨の前に頭がズキズキする」
「湿気が高い日は体がだるい」
といったご相談が増えてきました。テレビでは 「気象病」 や 「天気痛」 という言葉がよく聞かれますが、実は正式な病名ではありません。

そこで今回は、

  • 気象病と天気痛のちがい
  • 梅雨に不調が起こりやすい理由
  • 家でできるラクな対策

を、できるだけ専門用語を減らしてまとめました。

気象病と天気痛 ― ざっくりどう違う?

気象病

どんな言葉?

天気や気圧の変化で現れる 体のさまざまな不調 をまとめた呼び名

あらわれる症状

頭痛・めまい・むくみ・だるさ・ぜんそく悪化 など

元になった病気

片頭痛・メニエール病・心不全・リウマチ... いろいろ

正式な病名?

どちらも 保険の病名ではありません(WHO の病名辞典 ICD にも未収載)

天気痛

どんな言葉?

天気変化で起きる 痛み(頭痛・関節痛など) に絞った呼び名

あらわれる症状

片頭痛・首肩こり・古傷の痛み など

元になった病気

主に片頭痛・神経痛 など

ポイント

「天気痛」は"痛み"に特化した「気象病」の一部。
どちらも便利なニックネームで、治療は元の病気ごとに行います。

ICDとは、International Classification of Diseases(国際疾病分類) の略。世界保健機関(WHO)が管理する "病名の世界共通辞書" です。各病気に英数字のコードが付き、医師・病院・保険会社・研究者が同じ言葉で情報を共有できます。

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梅雨に不調が増える 3 つのワケ

① 低気圧が続く

体の中で起こること

耳の奥の"気圧センサー"がびっくりして体のリズムが乱れやすい

出やすい不調

頭痛・めまい

② 湿度が高い

体の中で起こること

汗が乾かず熱がこもる → 体の中に余分な水分がたまりやすい

出やすい不調

むくみ・だるさ

③ 気温差が大きい

体の中で起こること

血管が開いたり縮んだり大忙し → 血圧が上下しやすい

出やすい不調

動悸・のぼせ

合い言葉は「無理せず休む・こまめに飲む」

少しでも変だなと思ったら、涼しい場所で水分をとって一息つきましょう。

おうちでできるセルフケア5つ

① 水分+ひとつまみの塩

起きたらコップ1杯、日中は1時間ごとに少しずつ

なぜいいの?

軽い脱水を防ぎ、めまいや頭痛を和らげる

② 耳のうしろを温める

蒸しタオルを30秒→首・肩をクルッと回す

なぜいいの?

血のめぐりを良くして緊張をゆるめる

③ いつも通りの就寝・起床

これが一番重要かもです。しっかり寝る。休日も+−30分以内をキープ

なぜいいの?

体内時計が整い、頭痛やだるさの頻度が減る

④ 気圧アプリ+メモ

症状が出た日時をアプリの気圧グラフと一緒にメモ

なぜいいの?

「この気圧変化で症状が出る」と早めに気づける

⑤ コーヒーと塩分を控えめに

コーヒー1〜2杯/日、塩6g/日を目安

なぜいいの?

カフェインや塩分のとり過ぎは頭痛・むくみの元

アプリや耳あたためは万能薬ではありませんが、リスクがほぼなく手軽に試せる方法です。症状がつらいときは我慢せず医師に相談しましょう。

「気圧アプリ」とは

  • スマホに気象庁などの最新気圧データを取り込み、1 時間ごとの変化をグラフや通知で教えてくれるアプリです。
  • 代表例は**「頭痛ーる」**や「ウェザーニュース」「気圧速報」など。apps.apple.comapp-liv.jp
  • iPhone/Android の多くは気圧センサーを内蔵していますが、アプリの多くは公式予報(数値予報モデル+実測)を使うため、圏外でも自前センサーで"おおよその気圧"が表示できます。

受診の目安 ― 「天気のせい...」で片づけない

  • 月2回以上、寝込むほどの頭痛がある
  • めまいと耳鳴りで立っていられない
  • 動悸・息切れ・胸の圧迫感が続く
  • 関節や古傷が腫れて熱をもつ

→ ひとつでも当てはまれば 気象病の裏に別の病気 が隠れている可能性があります。早めの受診が安心です。

"気象病外来"の看板を見かけたら

  • 実際の診療は 頭痛なら脳神経外科、神経内科、めまいなら耳鼻科、動悸なら循環器内科 が基本。
  • 「気象病」の保険病名はないため、診療費は 元の病気の名前 で算定されます。
  • 症状がはっきりしないときは、まず かかりつけ医 に相談しましょう。

最後に

"気象病"や"天気痛"は便利な呼び名ですが、放っておくと 片頭痛の慢性化や心臓の負担増 につながることもあります。
「天気だから仕方ない」と我慢せず、つらいときは早めにご相談ください。当院では総合内科専門医、循環器専門医の視点から総合的にチェックし、必要に応じて耳鼻科・脳神経外科などとも連携いたします。

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