クリニックレター
2025.07.16
クリニックレターvol.118 「夏こそ要注意!「フレイル」ってなに? 家族で見つける早期サインと夏の対策法」
皆さん、こんにちは。梅雨が明けて本格的な夏が始まると、「おじいちゃん、最近疲れやすそうだな...」「おばあちゃん、食欲が落ちているみたい」といったご相談が増えてきました。
夏休みやお盆を前に、久しぶりに高齢のご家族と会う機会も増える時期です。その時に気づく変化、もしかしたら「フレイル」が関係しているかもしれません。
今回は、健康寿命を延ばすためにとても重要な「フレイル」について、できるだけわかりやすくお伝えします。
フレイルとは?―健康と要介護の間の「改善できる」状態
フレイル(frailty)とは、健康と要介護の間にある"虚弱な状態"のことです。加齢に伴って心身の機能が低下し、筋力や認知機能、活動量が少しずつ落ちていく状態を指します。日本老年医学会では、身体的、心理・認知的、社会的な側面を含めた多面的な概念と定義されています。
フレイルの最も重要な特徴は、適切な対策を行えば健康な状態に戻せる(可逆性がある)ことです。つまり、早期発見・早期対応により、健康寿命を延ばすことができるのです。
フレイルは下の図のような3つの側面から成り立っています。
身体的フレイル
- 筋力低下
- 疲労感
- 体重減少
- 活動量の減少
心理・認知的フレイル
- 認知機能の低下
- うつ傾向
- 意欲の低下
社会的フレイル
- 外出頻度の減少
- 人との交流減少
- 社会活動への参加減少
これらは相互に影響し合い、どれか1つでも悪化すると他の要素も悪化しやすくなります。
夏は、以下のような要因でフレイルが進行しやすくなります。
① 食欲が落ちて栄養不足に
暑さで食欲がなくなり、特に筋肉の材料となるたんぱく質が不足しがちです。これが体力や筋力の低下につながります。
② 外出を控えて動かなくなる
熱中症が心配で家にこもりがちに。動かない日が続くと、筋力が落ち、歩く力やバランス感覚も衰えてしまいます。
③ 水分不足で頭がぼんやり
脱水が続くと、認知機能にも影響が出ます。判断力や集中力が落ち、フレイルの一因になることもあります。
④ エアコン生活で体を動かさない
涼しい部屋でずっと座っていると、筋肉を使う機会が減り、足腰の衰えや転倒のリスクが高まります。
下記のような項目が当てはまる方はフレイルかもしれませんので、気になる方はチェックをしてみてください。
ご家族が「最近、元気がないな」「外に出たがらないな」と感じたときも、こうしたチェックが役立ちます。
フレイル対策は3本柱
厚生労働省も、健康寿命(=日常生活に制限なく過ごせる期間)を延ばすために「フレイル予防」を重視しています。平均寿命との差は男女ともに約8〜11年。元気に長生きするには、以下の3つの対策が大事であると言われています。
① しっかり食べる
高齢者はたんぱく質が不足しがちです。筋肉維持のために、肉・魚・卵・豆製品を意識的に摂りましょう。暑い日は水分補給も忘れずにお願いします。
② 無理なく動く
外出が難しいときは室内ストレッチや椅子体操を。活動量の低下は転倒や寝たきりの原因になります。
③ 人と話す
会話は脳の刺激になります。電話や地域活動など、小さな交流が認知機能の維持につながります。
最後に
東大阪市では、フレイル予防のために健康測定会や体操教室、「貯筋通帳」などのユニークな取り組みが行われています。市民が自分の健康状態を知り、日常の中で予防行動を始めるきっかけづくりが進んでいます。
当クリニックでも食事や運動、生活習慣のアドバイスを通じて、一人ひとりの健康寿命を支えるお手伝いをしています。
フレイルは老化の一部ではなく、予防と改善ができる状態です。
「最近体力が落ちた」「親の様子が気になる」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。

