クリニックレターvol.123 「マダニが媒介するSFTS感染症」

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2025.09.16

クリニックレターvol.123 「マダニが媒介するSFTS感染症」

今回は、近年急増しているマダニ媒介感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」についてお話しします。

国際的な研究によると、SFTSは2011〜2021年の10年間に世界で18,902例が報告されています。主に中国や韓国、日本、東南アジアで発生していることが明らかになっています。日本では2013年の初報告以降患者数が増え続け、2024年までに累計約1,000例(死亡約100例)とされ、2025年8月中旬にはすでに135人の患者報告があり、過去最多を更新しました。世界規模と比較すると日本の症例数は少ないものの、致死率は10〜30%と高く、正しい予防と早期受診が欠かせません。

SFTSはどんな病気?

SFTSは、SFTSウイルスを持ったマダニに刺されることで感染します。ウイルスが体に入ると、6〜14日ほどの潜伏期間を経て発症します。

初期症状として、38℃以上の熱があったり、体がだるい(倦怠感)、食欲がないといった症状がみられます。腹痛や吐き気、下痢などの消化器症状が出ることも少なくありません。

症状が進むと、血小板が減って出血しやすくなり、意識障害や多臓器不全を起こすこともあり、特にご高齢の方は重症化しやすい傾向があります。SFTSはワクチンがまだなく治療も対症療法が中心のため、最も大切なのはマダニに咬まれないように服装や忌避剤、屋外活動後のチェックなどで予防することです。

ペットからの感染にも注意

SFTSは人から人へはほとんど感染しませんが、SFTSにかかった犬や猫に噛まれたり、血液や体液に触れたりして感染した事例が報告されています。ペットを屋外に連れ出す際は、マダニ予防薬を使い、散歩後は体をよく確認してあげましょう。

SFTSは他人事ではありません

SFTSは、昔のように山奥に行かないと感染しないと思われがちですが、それは違います。
マダニは、山間部だけでなく、裏山や庭、畑、あぜ道など、私たちの身近な場所に普通に生息しています。家庭菜園やペットの散歩中でも、マダニに刺される可能性があるのです。

マダニはいつ活動する?

活動が活発なのは春から秋にかけてですが、実は冬でも活動している種類がいます。そのため、一年を通して注意が必要です。

なぜ刺されても気づきにくい?

マダニは、皮膚に口を差し込む際に麻酔のような成分を出すため、ほとんど痛みを感じません。吸血して体が1〜2センチほどに膨らんでから初めて気づくことも多いです。
帰宅後は、入浴やシャワーを浴びる際に、全身をくまなくチェックすることが大切です。特に、頭皮、耳の後ろ、脇の下、股間、ひざの裏などは念入りに確認しましょう。

マダニから身を守る3つの予防策

①服装で肌の露出を減らす

長袖・長ズボンを着用し、首にはタオルを巻きましょう。ズボンの裾を靴下や長靴の中に入れると、マダニが侵入しにくくなります。

②虫よけ剤を使う

「ディート」や「イカリジン」という成分を含む虫よけスプレーを、服や肌に使いましょう。完全に防げるわけではないので、服装と併用することが重要です。

③帰宅後にマダニを落とす

家に入る前に服や持ち物を払い、上着はビニール袋などに入れておくと安心です。服についたマダニは、粘着テープクリーナーやガムテープで取り除くのが効果的です。

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CANVAにて作成画像

もしマダニに刺されたら

マダニに刺されても、無理に引き抜こうとしないでください。 口器が皮膚の中に残ったり、体液が逆流してウイルスを押し込んでしまう危険があります。また、火やアルコールを使うのもやめましょう。できるだけ早く、皮膚科や内科を受診してください。 そこで適切にマダニを取り除いてもらいましょう。

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CANVAにて作成

まとめ

マダニに刺された後、発熱や強いだるさ、腹痛などの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診し、「マダニに刺された可能性がある」と伝えてください。SFTSは致死率が高い病気なので、早期の受診が何より大切です。
SFTSは、日頃から予防策を意識することで、十分に防げる病気です。心配なことや気になる症状がありましたら、いつでもご相談ください。

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