クリニックレター
2025.10.01
クリニックレターvol.124:いま目指す血圧は130/80未満 -- 高血圧治療の新ガイド
-- 目標は"全年齢"で〈130/80 mmHg未満〉、
家庭血圧は〈125/75 mmHg未満〉へ --
目次
- なにが変わったの?
- まずはここだけ押さえる(判定と目標)
- どうして厳しめの目標に?
- 例外・個別調整もあります
- "家庭血圧"が主役です
- 生活でできる5つの対策(薬の前に/薬と並行して)
- 受診の目安(迷ったら早めにご相談を)
- まとめ(今日からのポイント)
なにが変わったの?
日本高血圧学会は2025年8月29日に新ガイドライン(JSH2025)を発刊。治療で目指す血圧目標が、年齢に関係なく〈診察室130/80 mmHg未満〉に統一されました(75歳以上も同じ)。家庭で測る目標は**〈125/75 mmHg未満〉**です。CareNet.com+1
いっぽう、診断の基準("高血圧と判定する線引き")は従来どおり:
診察室 ≥140/90 mmHg、家庭 ≥135/85 mmHg。ここは変わっていません。Nature
まずはここだけ押さえる(判定と目標)
診断の目安
診察室:140/90 mmHg以上 ・家庭:135/85 mmHg以上(複数日の平均で評価)Nature
治療で目指す"基本目標"
診察室:130/80 mmHg未満 ・家庭:125/75 mmHg未満(全年齢共通) Nature+1
どうして厳しめの目標に?
多くの臨床研究で、130/80 mmHg未満を目指すと脳卒中・心臓病などの合併症が減ることが示されてきたためです。JSH2025はこの流れを反映し、年齢や合併症にかかわらず130/80未満を推奨しています。Nature+1
例外・個別調整もあります
施設入所中・予後が限られる方・妊娠中などは、医師と相談し目標を個別に調整します(下げすぎによるふらつき・腎機能低下などのリスクにも配慮)。Nature
"家庭血圧"が主役です
ガイドラインは家庭血圧(HBPM)を重視。日常の平均値が治療方針に直結します。朝と夜に記録をつけましょう。
測り方のコツ
- 朝:起床後1時間以内・排尿後・服薬前・朝食前/夜:就寝前
- 椅子に座り1-2分安静、腕を心臓の高さに。
- 上腕式・自動の血圧計を推奨。
- 7日以上の平均で判断(初日は除外するとより正確)。
生活でできる5つの対策(薬の前に/薬と並行して)
- 減塩(目安:食塩相当量 1日6g未満を意識)
- 体重管理(BMI 18.5-24.9を目安に)・運動(速歩など有酸素 30分×週5回を目標に)
- 節酒・禁煙
- 野菜・果物・魚・低脂肪乳製品を増やす(和食ベース+"減塩"が鍵)
- 睡眠・ストレス対策(就寝前のスマホ控えめ、深呼吸や入浴で自律神経を整える)
受診の目安(迷ったら早めにご相談を)
- 家庭血圧:7日以上の平均が125/75 mmHg未満に届かない/朝の高め(例:135/85 mmHg以上)が3日以上続く。
- 診察室血圧:130/80 mmHg未満で安定しない、または数値のばらつきが大きい。
- 症状:めまい・ふらつき、動悸、胸の圧迫感や痛み、息切れ、むくみ、頭痛や視界のかすみが続く。
- 緊急性が高いサイン:冷や汗を伴う強い胸痛/片側の手足のしびれ・麻痺、ろれつが回らない/突然の激しい頭痛――これらは救急受診も検討してください。
- 自己判断での増減・中止はNG。内服調整は必ず医師と相談しましょう。
- 受診時は血圧記録(朝・夜)、服用中のお薬、気になる症状のメモをお持ちいただくと、診療がスムーズです。
まとめ(今日からのポイント)
- 診断の線引きは従来どおり:外来140/90、家庭135/85。
- 目指す"治療目標"は全年齢で統一:外来130/80未満、家庭125/75未満。
- 家庭血圧を正しく測る→記録を共有し、減塩・運動・体重管理・睡眠に必要な薬物療法を組み合わせることで、脳・心臓・腎臓を守る血圧をつくります。
- 大切なのは**「下げ切る」だけでなく「保ち続ける」**こと。無理のない計画で、一緒にコントロールしていきましょう。

