クリニックレターvol.131: お正月に増える"命の事故"----お餅の窒息を防ぐ家庭ルール

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2026.01.05

クリニックレターvol.131: お正月に増える"命の事故"----お餅の窒息を防ぐ家庭ルール

はじめに

新年あけましておめでとうございます。
本年も、にしおかクリニックをどうぞよろしくお願いいたします。

お正月の三が日は過ぎましたが、1月はまだお餅を食べる機会が続く時期です。実はこの時期、毎年のように「のど詰まり(窒息)」による救急搬送や死亡事故が増えることが知られています。 特に高齢の方では、噛む力や飲み込む力(嚥下機能)が低下していることがあり、「いつも通り」の一口が命に関わる事故につながる**場合があります。

ご家族が集まりやすい今こそ、ぜひ一度、対策を共有して安全にお過ごしください。

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データで見る:事故が増えるのは"この季節"

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図1:月別救急搬送(餅等による窒息・65歳以上、令和元年〜令和5年 合計 n=353)

1月が突出して多く、次いで12月が多いことが示されています(お正月シーズンに集中)。

データで見る:死亡事故は"正月"に集中

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図2:餅による窒息死亡の年末年始集中(65歳以上、平成30年・令和元年 合計 n=661)

消費者庁の分析では、餅による窒息死亡(65歳以上)の43%が1月に発生し、三が日だけで19%、元旦だけで10%という、強い集中が示されています。

なぜ餅は"殺傷能力が高い"のか(医学的な理由)

餅が危険な最大の理由は、物性(温度で性質が変わる・気道に貼りつく)です。

厚労科研の報告では、餅は口に入る時の50〜60℃では軟らかい一方、温度が体温に近い約40℃まで下がると硬くなり、付着性が増えることが窒息の大きな要因になり得ると推察されています。厚生労働省

加えて高齢者では、加齢に伴う噛む力・飲み込み(嚥下)機能の低下が重なり、事故リスクが上がります。 CAA Japan

とくに注意が必要な方("餅は避ける/代替も検討")

  • 以前にむせやすい/飲み込みにくいと言われた
  • 脳卒中後、パーキンソン病、認知症、口腔乾燥、義歯が合いにくい
  • お酒が入っている、眠剤・鎮静薬を使用中
  • 一人で食べる状況になりやすい(見守りがない)

予防がすべて:餅を食べるときの"家庭内ルール"

消費者庁の注意喚起に沿って、現実的に守れる形にまとめます。 CAA Japan

食べる前

  • 小さく切る"噛み切れるサイズ"に) CAA Japan
  • お茶や汁物でのどを潤してから(ただし噛まずに流し込むのは危険CAA Japan
  • できれば一人で食べない(同席・見守り)

食べている最中

  • 一口の量を少なくゆっくり・よく噛んでから飲み込む CAA Japan
  • 「会話しながら」「急いで」「テレビを見ながら」を避ける
  • "飲み込みに不安がある方"餅を無理に勧めない(代替もOK

★もし詰まったら:その場で命を守る手順(超重要)

① まずは判断

咳ができる/声が出る

まずは咳を続けてもらう(有効で害が少ない初期対応) JRC 日本蘇生協議会

声が出ない・呼吸が苦しい・顔色が悪い

すぐに119+異物除去へ

② 異物除去(成人)

背部叩打法を先に、効果がなければ腹部突き上げ法を行う(意識がある場合) 日本医師会

※妊婦や乳児では腹部突き上げ法は行わない、など注意点があります。 日本医師会

③ 意識がなくなったら

  • 直ちに119番、可能なら周囲にAED依頼
  • **心肺蘇生(胸骨圧迫)**を開始(詳細は院内掲示や救命講習の手順に従ってください)

おわりに

お餅は文化として大切ですが、**「高齢者 × 1 × 見守り不足」**が重なると、命に直結する事故になり得ます。
ご家族が集まるタイミングこそ、ぜひ「小さく切る・少量・ゆっくり・見守り」を合言葉にしてください。


本レターは一般的な情報提供を目的としています。症状や基礎疾患により対応が異なる場合があります。

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