クリニックレター
2026.02.03
クリニックレター特別編:ニュースで聞く「ニパウイルス」ってどんな病気? ― 今知っておきたいポイントを、わかりやすく整理 ―
―ニュースで不安なら、まずこれを読んで―
最近ニュースで「ニパウイルス」という名前を耳にされた方も多いと思います。
新しい感染症の話題は、名前だけが先に広がると不安になりがちです。
結論から言うと、日本では現時点で(国内感染・輸入ともに)報告はありません。
ここでは、信頼できる公的情報をもとに、ポイントだけをわかりやすくお伝えします。
- ニパウイルスって、どんな病気?
- なぜ注目されるの?
- どうやってうつるの?
- 症状は?
- 日本では心配しなくていいの?
- 旅行に行く時の簡単ルール(流行地域へ渡航される方へ)
- ワクチンはあるの?
- にしおかクリニックより
1)ニパウイルスって、どんな病気?
ニパウイルスは、動物から人にうつる(人獣共通感染症)のウイルスです。
自然界では主にオオコウモリ(フルーツバット)が関わり、状況によってはブタなどを介して人へ感染することがあります。
これまでの報告は、主に 南アジアを中心に限られています。
2)なぜ注目されるの?
ニパウイルスは、重症化すると**脳炎(意識障害・けいれん等)**を起こし、致死率が高いことが知られています(流行ごとに違いはありますが、おおむね 40〜75%)。
また、承認されたワクチンや特効薬がまだないため、WHOは「研究開発を優先すべき病原体(R&D Blueprint)」として位置づけています。
3)どうやってうつるの?
感染は主に次のパターンです。
- 動物から:コウモリや家畜の体液に触れる など
- 食べ物から:コウモリで汚染された可能性のある果物、生のナツメヤシ樹液など
- 人から人へ:患者さんの体液に濃厚に接触(看病、医療・介護の場面など)
大事なポイント
電車やスーパーで、くしゃみだけで簡単に広がるタイプではありません。
人から人へ広がる場合も、主に近い距離での濃厚接触が中心です。
4)症状は?
潜伏期間(感染から発症まで)は通常 3〜14日、まれに 45日が報告されています。
- 初期:発熱、頭痛、だるさ、咳 など(風邪に似ることがあります)
- 進行:強い眠気、意識がぼんやりする、けいれん等(脳炎)
5)日本では心配しなくていいの?
今のところ、過度に心配する必要は高くありません。
日本では、ヒト・動物ともに国内感染例・輸入症例の報告はないとされています。
一方で、海外で発生が報じられた場合は、状況に応じて検疫や医療機関で注意喚起が強まることがあります。
6)旅行に行く時の簡単ルール(流行地域へ渡航される方へ)
- 知らない動物に触らない(特にコウモリ・家畜)
- 果物は よく洗う/皮をむく、動物がかじった可能性のあるものは避ける
- **生の樹液(ナツメヤシなど)**は飲まない
帰国後に発熱などが続く場合は、受診前に電話で相談し、渡航歴を必ず伝えてください。
7)ワクチンはあるの?
一般向けに接種できるワクチンは、現時点ではありません。
ただし良いニュースとして、CEPI支援のもと、University of Oxfordなどが開発するワクチン候補で 第II相試験が開始されています。
治療は特効薬がないため、重症の場合は**集中治療を含む全身管理(支持療法)**が中心です。
【にしおかクリニックより】
ニュースを見て「心配だな」と思ったら、遠慮なくご相談ください。
当院では、公的機関の最新情報を確認しながら、患者さんに分かりやすい説明を心がけています。
【参考文献(出典)】(最終確認日:2026年2月3日)
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World Health Organization (WHO). Disease Outbreak News: Nipah virus disease - India (DON593).
-
World Health Organization (WHO). R&D Blueprint: Nipah & Henipaviruses.
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国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト(IASR参考情報)
「ヘニパウイルス感染症をめぐる近年の状況」 -
Coalition for Epidemic Preparedness Innovations (CEPI).
"University of Oxford launches world's first Phase II Nipah virus vaccine trial" (9 Dec 2025). -
University of Oxford.
"World's first Phase II Nipah virus vaccine trial launch" (15 Dec 2025).

