クリニックレター
2026.02.16
クリニックレター vol.136「冬こそ意識したい呼吸のクセ」〜鼻呼吸と口呼吸について知ってほしいこと〜
冬になると、鼻がつまりやすくなり、空気の乾燥によって、知らず知らずのうちに口で息をしている。そんな経験はありませんか。
私たちは1日に約2万回もの呼吸をしていますが、その「呼吸の仕方」が、風邪のひきやすさや睡眠の質、さらには血圧や血糖値といった生活習慣病にも関係していることが、近年わかってきました。
「鼻で呼吸するか、口で呼吸するか」という何気ないクセが、体調や病気のリスクと深く結びついているのです。
今回は、冬の時期に特に注意したい鼻呼吸と口呼吸の違いについて、内科の視点からお伝えします。
目次
鼻呼吸と口呼吸、何が違う?
鼻呼吸の大切な役割
鼻は、ただ空気を取り込むだけの器官ではありません。
鼻の中には細かな毛や粘膜があり、次のような重要な働きをしています。
加湿・加温
冷たく乾燥した外気を、体温に近い状態に調整して肺へ送ります。
異物の除去
ウイルスや細菌、ホコリをキャッチし、体内への侵入を防ぎます。
一酸化窒素(NO)の産生
血管を広げて血流を改善し、感染防御にも関与します。
鼻呼吸は、いわば体に備わった「空気清浄機」と「加湿器」を同時に使っている状態といえます。
口呼吸になると、何が起こる?
一方、口呼吸では空気が直接、喉や気管・肺へ入ります。
その結果、次のような問題が起こりやすくなります。
- 喉や気道が乾燥しやすい
- ウイルスや細菌が体内に侵入しやすい
- 睡眠中はいびきや無呼吸の原因になりやすい
口呼吸が関係する内科的なトラブル
① 風邪・インフルエンザ・肺炎
口呼吸では、鼻のフィルター機能が十分に働かないため、感染症のリスクが高まります。
特に冬場は空気が乾燥しており、喉や気道の防御力が低下しやすい季節です。
高齢の方や持病のある方では、風邪をきっかけに肺炎へ進行するケースもあり、呼吸の仕方を意識することは、感染予防の一助となります。
② 睡眠の質低下・いびき・睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に口呼吸になると、舌が喉の奥へ落ち込み、気道が狭くなりやすくなります。
その結果、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こすことがあります。
睡眠時無呼吸は、日中の眠気や集中力低下だけでなく、高血圧・心疾患・脳梗塞などのリスクを高めることが知られています。
③ 高血圧・糖尿病など生活習慣病との関連
睡眠の質が低下すると、自律神経のバランスが乱れ、血圧や血糖のコントロールが不安定になりやすくなります。
「呼吸」という無意識の習慣が、生活習慣病の管理にも影響しているという点は見逃せない状況になることがあります。
鼻呼吸を意識するためにできること
日常生活での工夫
- 背筋を伸ばして座る
- 気づいたときに口を閉じる
- 鼻からゆっくり息を吸う深呼吸を取り入れる
就寝時の対策
- 仰向けより横向き寝を意識する
- 医療用のやさしい口テープを活用する(鼻づまりがない場合に限ります)
- 加湿器などで室内の乾燥対策を行う
鼻づまりが続く場合は受診を
鼻炎や副鼻腔炎などが原因で鼻が通らない場合、無理に鼻呼吸を続ける必要はありません。
症状が続く場合は、内科または耳鼻咽喉科へご相談ください。
おわりに
呼吸は、私たちが生きている限り休むことなく続く、もっとも基本的な健康習慣です。
鼻で呼吸するか、口で呼吸するかという小さな違いが、感染症の予防、睡眠の質、さらには生活習慣病の管理にも影響を与えます。
特に冬は、鼻づまりや乾燥によって口呼吸になりやすい季節です。
ただし、「必ず鼻呼吸でなければならない」と無理をする必要はありません。
いびき、日中の眠気、風邪をひきやすいなど、気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
患者さん一人ひとりの生活背景に合わせたアドバイスを行っています。

