クリニックレター
2026.06.01
クリニックレターvol.143 大人もかかる「はしか」に注意 ― MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)2回接種、今こそ確認を ―
皆さま、こんにちは。
最近、国内でも**麻しん、いわゆる「はしか」**の報告がみられており、改めて注意が必要になっています。
「はしか」と聞くと、子どもの病気、昔の病気というイメージがあるかもしれません。
しかし、麻しんは子どもだけの病気ではありません。
大人でも、免疫が十分でなければ感染することがあります。
特に、子どもの頃にワクチンを接種したか分からない方、MRワクチンを1回しか接種していない可能性がある方は、この機会に一度、母子健康手帳などで接種歴を確認してみましょう。
麻しんは感染力が非常に強い感染症です
麻しんは、最初は発熱、咳、鼻水、目の充血など、風邪のような症状で始まることがあります。
その後、高熱や全身の発疹が出てくることがあります。
麻しんが特に注意を要する理由は、感染力が非常に強いことです。
空気感染するため、手洗いやマスクだけでは十分に予防できません。
最も大切な予防は、麻しんを含むワクチンをきちんと接種していることです。厚生労働省も、麻しんの予防にはワクチン接種が最も有効で、2回接種が重要としています。
まずは「2回接種しているか」を確認しましょう
現在、子どもの定期接種では、MRワクチンを1歳で1回目、小学校入学前の1年間に2回目接種することになっています。
MRワクチンとは、麻しん・風しん混合ワクチンのことです。
麻しんの予防としてMRワクチンを接種しても問題なく、風しん予防にもつながります。
まずは、母子健康手帳などで、MRワクチンを2回接種しているかを確認してみましょう。
接種歴がわからない場合は?
接種歴が不明な方、または1回しか接種していない可能性がある方は、次のような選択肢があります。
1つ目は、自費で麻しん抗体価を測定する方法です。
抗体が十分にあれば、追加接種は不要と判断できる場合があります。
2つ目は、抗体価を測定せずに、MRワクチンを任意接種する方法です。
抗体検査を行うと、採血、結果確認、再来院が必要になることがあります。
そのため、海外渡航の予定がある方、医療・介護・教育・保育関係の方、早めに対応したい方では、医師と相談のうえ、抗体検査を省略して任意接種を検討することもあります。日本感染症学会も、接種歴が確認できない場合は、抗体価を測定する方法、または接種を行う方法の両方を選択肢として示しています。
現在、麻しん単独ワクチンは入荷が困難な状況があり、当院では基本的にMRワクチンでの接種をご案内しています。
MRワクチンは、麻しんだけでなく風しんの予防にもつながるワクチンです。
ただし、MRワクチンは生ワクチンのため、妊娠中の方は接種できません。
また、接種後は一定期間、妊娠を避ける必要があります。免疫を抑える治療を受けている方なども、接種できない場合があります。
接種をご希望の方は、ワクチンの在庫確認も必要ですので、事前にご相談ください。
自治体の助成制度について
最近、自治体によってはMRワクチンに関する助成制度が案内されることがあります。
ただし、すべてが「麻しん対策」として行われているわけではありません。
たとえば、東大阪市を含め多くの自治体で行われているMRワクチンの助成は、主に風しん抗体価が低い方への風しん対策です。
これは、妊娠初期の女性が風しんに感染した場合に、赤ちゃんに影響が出る可能性があるため、それを防ぐ目的の制度です。
MRワクチンを接種すれば、風しんだけでなく麻しんへの免疫も期待できます。
しかし、麻しんが流行しているからといって、誰でも無料で追加接種できる制度ではありません。
対象者や自己負担額は自治体によって異なりますので、助成制度についてはお住まいの自治体の案内をご確認ください。
麻しんが心配なときは、来院前にお電話ください
発熱、咳、鼻水、目の充血、発疹などがあり、麻しんが心配な場合は、直接来院せず、必ず事前にお電話でご相談ください。
通常どおりに来院されると、待合室などで周囲の方に感染を広げてしまう可能性があります。
特に、麻しん患者さんとの接触がある方、流行地域への滞在歴がある方、海外渡航歴がある方は、受診前に必ずお申し出ください。
最後に
麻しんは、過去の病気ではありません。
しかし、正しい知識とワクチン接種歴の確認で、予防できる可能性が高い感染症です。
まずは慌てず、母子健康手帳などでMRワクチンを2回接種しているか確認すること、接種歴が不明な場合は、抗体検査や任意接種について医師に相談すること、そして、麻しんが疑われる症状がある場合は、来院前に必ず電話で相談することが大切です。
ご自身やご家族の接種歴がわからない場合は、診察時にご相談ください。

