クリニックレター
2026.07.16
クリニックレター vol.147 熱中症の水分補給、もう一度確認しましょう― 経口補水液とスポーツドリンクは、どう違う? ―
皆さま、こんにちは。毎年のようにお伝えしている熱中症対策ですが、診察室では今も、「経口補水液の方が体によさそうなので、毎日飲んでいます」「スポーツドリンクを飲んでいれば、熱中症になりませんよね?」というご質問をいただきます。
経口補水液とスポーツドリンクは、見た目はよく似ていますが、
目的も成分も同じではありません。
大切なのは、どちらが優れているかではなく、そのときの体の状態に合わせて選ぶことです。
目次
- 経口補水液とスポーツドリンクの違い
- 普段の生活では、水やお茶が基本です
- 大量に汗をかくときはスポーツドリンクも活用
- 経口補水液は「脱水が疑われるとき」に
- 経口補水液を飲ませてはいけない場合があります
- 持病のある方は自己判断で飲みすぎないでください
- この3つを覚えておきましょう
- にしおかクリニックから皆さまへ
経口補水液とスポーツドリンクの違い
ひと言で表すと
スポーツドリンクは「予防や活動中の補給」
経口補水液は「脱水が起きたときの補給」
と考えると分かりやすいでしょう。
普段の生活では、水やお茶が基本です
エアコンの効いた室内で過ごしているときや、短時間の買い物など、汗をそれほどかいていない場面では、水やお茶をこまめに飲むことが基本です。
通常の食事が取れていれば、食事からも塩分や水分を補うことができます。
「熱中症が心配だから」と、毎日スポーツドリンクや経口補水液ばかりを飲む必要はありません。
特にスポーツドリンクは飲みやすい反面、商品によっては糖分が多く含まれています。水代わりに何本も飲み続けると、血糖値の上昇や体重増加につながることがあります。
大量に汗をかくときはスポーツドリンクも活用
長時間の運動、炎天下での作業、屋外でのスポーツ観戦などで大量に汗をかくと、水分だけでなく塩分も失われます。
このようなときは、スポーツドリンクなどを活用するのも一つの方法です。
ただし、スポーツドリンクだけを一気に飲み続けるのではなく、
- のどが渇く前から少しずつ飲む
- 水やお茶も組み合わせる
- 長時間の活動では定期的に休憩する
- 糖尿病のある方は飲みすぎない
ことが大切です。
飲み物を準備しただけで、熱中症を完全に防げるわけではありません。エアコン、日陰、帽子、冷却、休憩を組み合わせましょう。
経口補水液は「脱水が疑われるとき」に
経口補水液は、体から失われた水分と塩分を効率よく補うために調整された飲み物です。
次のような症状があり、意識がはっきりしていて、自分で飲める場合に使用します。
- めまいや立ちくらみがする
- 体がだるい
- 頭が痛い
- 足がつる
- 大量に汗をかいた
- 暑い場所にいた後から気分が悪い
- 食欲がなく、水分摂取も少ない
まず涼しい場所に移動し、衣服を緩め、首・脇の下・足の付け根などを冷やします。そのうえで、経口補水液を少しずつ飲みましょう。
経口補水液は「健康によい飲料」ではなく、脱水時に使用するための飲料です。脱水していない方が毎日飲み続けるものではありません。
また、商品によって、熱中症による脱水に使用できるものと、下痢・嘔吐による脱水を対象とするものがあります。購入するときは、パッケージの表示も確認してください。
経口補水液を飲ませてはいけない場合があります
次のような場合は、無理に飲ませないでください。
- 呼びかけに対する反応がおかしい
- 意識がもうろうとしている
- 自力で座れない、歩けない
- 自分で飲み込めない
- 吐き気や嘔吐が強い
- けいれんしている
- 体が非常に熱い
- 休んでも症状が改善しない
意識が悪い人に無理に飲ませると、飲み物が気管や肺に入る危険があります。
経口補水液を飲ませるよりも、すぐに119番へ連絡し、救急車を待つ間も体を冷やしてください。![]()
持病のある方は自己判断で飲みすぎないでください
経口補水液には、一般的なスポーツドリンクより多くのナトリウムやカリウムが含まれています。
そのため、
- 心不全のある方
- 腎臓病のある方
- 水分や塩分の制限を受けている方
- カリウム制限を受けている方
は、自己判断で大量に飲まないようにしてください。
また、経口補水液にも糖分は含まれています。糖尿病のある方は、スポーツドリンク、経口補水液のどちらも「いくら飲んでも大丈夫」というわけではありません。
普段からどの飲み物を選べばよいか、診察時にご相談ください。
この3つを覚えておきましょう
① 普段の水分補給
水やお茶を、のどが渇く前からこまめに
② 長時間の運動や大量の発汗
スポーツドリンクなども活用。ただし糖分の取りすぎに注意
③ 脱水が疑われるとき
意識がはっきりして飲めるなら経口補水液
そして、
意識がおかしい・自分で飲めないとき
飲ませずに、すぐ119番
にしおかクリニックから皆さまへ
熱中症対策では、「何を飲むか」だけでなく、暑さを避け、早めに休み、体を冷やすことが大切です。
経口補水液とスポーツドリンクは、どちらも便利な飲み物ですが、目的が違います。
普段は水やお茶。
大量に汗をかくときはスポーツドリンク。
脱水が疑われるときは経口補水液。
体調と場面に合わせて正しく選び、この夏を安全に乗り切りましょう。

