クリニックレター
2026.08.17
クリニックレター Vol.153 突然の大雨、そのまま車を走らせますか? ― 道路冠水から「命」を守るために知っておきたいこと ―
これは決して「遠い地域だけの話」ではありません
先日、千葉県で記録的な大雨が発生し、道路や住宅が広い範囲で浸水しました。
特に心に留めていただきたいのが、冠水した道路で車が動けなくなり、車内に閉じ込められる危険です。今回の豪雨でも、浸水した車内で亡くなった方が報告されています。
しかし、こうした道路冠水は決して遠い地域だけの出来事ではありません。
東大阪市でも、今年6月26日に記録的な大雨がありました。
この日、東大阪市では1時間に76mmという非常に激しい雨が観測され、道路が冠水したり、マンホールから水が噴き出したりする状況が報道されました。大阪府内の各地でも、道路冠水などの被害が確認されています。
普段何気なく通っている道路でも、短時間の大雨によって状況が一変することがあります。
「いつもの道だから大丈夫」
「このくらいの水なら通れるだろう」
その判断が、思わぬ危険につながることがあります。
⚠️ 冠水した道路には、車で入らない。
まず、このことを覚えておいてください。
車は「水」に強い乗り物ではありません
車に乗っていると、雨風から守られているため安全に感じます。
しかし、車は深い水の中を走るようには作られていません。
水位が上がってくると、
- エンジンやモーターが停止する
- 電気系統に不具合が起こる
- 車体が浮いて流される
- 水圧によってドアが開きにくくなる
といった危険が生じます。
国土交通省も、車の床面を超えて水が入ると、エンジンや電気装置などに不具合が起こるおそれがあると注意を呼びかけています。
さらに水位が高くなると、水圧によってドアを内側から開けることが難しくなります。
「タイヤの半分くらいだから大丈夫」とは限りません。
そもそも、車内から道路の水深を正確に判断することは困難です。
冠水している道路を見つけたら、進まずに引き返す。
これが最も大切です。
特に危険なのが「アンダーパス」
大雨の日に特に注意したいのが、道路や鉄道などの下を通るアンダーパスです。
周囲より低くなっているため雨水が集まりやすく、短時間の激しい雨でも急激に冠水することがあります。
「さっきまで通れたから大丈夫」と思っても、数分後には状況が変わっているかもしれません。
さらに道路が冠水すると、
- 側溝
- 水路
- 段差
- マンホール
などが水で見えなくなります。
大雨の日は「いつもの道」が、いつもの道ではなくなります。
冠水している場所を見つけたら、無理に進まず迂回しましょう。
もし車が水につかってしまったら
何より大切なのは、完全に水没する前に、できるだけ早く車外へ避難することです。
水位が上がってきたら、
- シートベルトを外す
- 窓が開くうちに開ける
- 窓から車外へ脱出する
ことを考えます。
水圧でドアが開かなくなる場合があります。
窓が開かない場合に備えて、車内用の脱出用ハンマーを手の届く場所に準備しておくことも大切です。
ただし、ガラスの種類によっては脱出用ハンマーで割れないものもあります。
だからこそ、「どうやって脱出するか」より、「冠水した道路へ入らない」ことが一番大切です。
大雨は「降ってから」ではなく「降る前」に備える
最近は、短時間で雨の降り方が急激に変わることがあります。
大雨が予想される日は、車で出かける前に、
- 天気予報・雨雲レーダーを確認する
- 気象庁「キキクル(危険度分布)」を確認する
- ハザードマップで自宅や普段通る道路を確認する
- 不要不急の外出や危険な時間帯の運転を避ける
といった行動を心がけましょう。
特にご高齢の方は、激しい雨では視界も悪くなります。
「雨がひどくなってから考える」のではなく、「危なくなる前に移動をやめる」ことが大切です。
院長からひとこと
大雨のニュースを見ても、「自分の住んでいるところは大丈夫」
と思ってしまいがちです。
しかし、今年6月には私たちの暮らす東大阪市でも、1時間に76mmという非常に激しい雨が降り、実際に道路冠水が起こりました。
突然の大雨は、決して他人事ではありません。
車は雨風をしのげる場所ですが、冠水した道路では必ずしも安全な場所ではありません。
道路に水がたまっていたら、**「このくらいなら行けるだろう」ではなく、
「ここには入らない」**という判断をしてください。
引き返す。迂回する。安全な場所で待つ。
早めの判断が、ご自身だけでなく、同乗しているご家族の命を守ることにつながります。
にしおかクリニックからのワンポイント
大雨の日に覚えておきたい3つのこと
- 冠水した道路には入らない
- 迷ったら進まず、引き返す
- 車には脱出用ハンマーを備えておく
「まだ行ける」より「もう行かない」。
突然の大雨から命を守るために、ご家族でも一度話し合ってみてください。

