クリニックレター
2026.09.01
クリニックレター vol.152 その症状、様子見で大丈夫?― 救急車を呼ぶべき危険なサイン ―
9月9日は「救急の日」
2026年9月6日(日)から12日(土)は「救急医療週間」です。この機会に、ご自身と大切な人の命を守るための"判断の目安"を確認しましょう。
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皆さま、こんにちは。急な胸の痛みや息苦しさ、突然のしびれを感じたとき、「もう少し様子を見よう」「救急車を呼ぶほどではないかもしれない」と迷うことがあります。しかし、心筋梗塞や脳卒中、大動脈解離などは、治療開始までの時間がその後を大きく左右します。
救急車の「適正利用」とは、ただ利用を控えることではありません。緊急性の高い症状を見逃さず、必要なときには、ためらわず119番することも大切な適正利用です。
緊急症状があれば、当院の診療時間や電話のつながりを待たず、119番してください。
迷わず119番 ― 5つの危険なサイン
とくに重要な3つの危険信号
- 突然起こった
- 今までにない強さ
- 急速に悪化している
このいずれかに当てはまるときは、年齢にかかわらず救急要請を考えてください。
① 意識・呼吸 ― 反応がない/普段どおりに呼吸していない
- 呼びかけても反応しない、意識がもうろうとしている
- 呼吸がない、呼吸が弱い、明らかに息が苦しそう
- しゃくり上げるような不規則な呼吸(これは「普段どおりの呼吸」ではありません)
- 唇や顔色が紫色・真っ青
- けいれんが5分以上続く、けいれんを繰り返す、初めてのけいれん、けいれん後も意識が戻らない
② 脳 ― 突然の頭痛・麻痺・言葉の異常
- 突然、経験したことのない激しい頭痛が起こった
- 顔の片側がゆがむ、片方の腕や脚に力が入らない・しびれる
- ろれつが回らない、言葉が出ない、話の内容が理解できない
- 急に立てないほどふらつく、物が二重に見える・視野が欠ける
脳卒中は「顔・腕・言葉・時間」
顔のゆがみ、片腕の脱力、言葉の異常のどれか一つでも突然起これば、発症時刻を確認して119番してください。
③ 胸・背中 ― 心臓や大動脈の病気を疑う症状
- 胸の中央が締め付けられる、圧迫されるように痛む
- 胸痛が数分以上続く、いったん治っても繰り返す
- 突然の激しい胸痛・背部痛、痛む場所が移動する
- 急な息切れ、呼吸困難、冷汗、吐き気を伴う
④ 腹・出血 ― 突然の激痛や大量の出血
- 突然の激しい腹痛が続く、お腹が板のように硬い
- 血を吐く
- 便に多量の血が混じる
- 真っ黒な便に加えて、冷汗・顔面蒼白・ふらつき・動悸を伴う
- けがによる出血が多い、圧迫しても止まらない
※黒い便が出たものの体調に大きな変化がない場合は、119番ではなく、当院または #7119 にご相談ください。
⑤ その他 ― 重いけが・急速なアレルギー症状
- 高所からの転落、交通事故、頭を強く打って意識がおかしい
- 食物・薬・虫刺されの後、息苦しさ、のど・舌の腫れ、ぐったりが急に現れた
- エピペン®を処方されている方は、ためらわず使用したうえで119番してください。
- 大量の薬物摂取、意識障害を伴う中毒が疑われる
危険な症状があるときは、自家用車やタクシーで無理に移動しないでください。本人に運転させることは絶対に避けてください。
119番した後にすること
119番では指令員が必要なことを順番に尋ねます。緊急性が高い場合は、すべてを聞き終える前でも救急車が出動します。電話を切らず、指示に従ってください。
1. 「救急です」と伝える
火事か救急かを聞かれたら、まず「救急です」と答えます。
2. 住所を正確に伝える
市町村名から住所を伝えます。住所が分からない場所では、交差点名や大きな建物などの目印を伝えます。
3. 症状と発症時刻を伝える
誰が、いつから、どのような症状なのか、意識と呼吸の状態を簡潔に伝えます。とくに脳卒中では「最後に元気だった時刻」も重要です。
4. 指令員の指示に従う
必要に応じて胸骨圧迫やAEDなどの応急手当が案内されます。スピーカー通話にすると、両手を使いやすくなります。
救急車が到着するまで
- 玄関の鍵を開け、可能なら家族や近隣の人が道路に出て救急車を誘導する。
- 本人を一人にせず、意識と呼吸の変化を確認する。悪化したら再度119番する。
- 意識が悪い人には、食べ物・飲み物・内服薬を無理に与えない。
- 反応がなく、普段どおりの呼吸がなければ、指令員の指示に従い胸骨圧迫とAEDを行う。
用意しておくと役立つもの
マイナ保険証・資格確認書
受診歴などの確認に役立ちます
お薬手帳・普段の薬
薬の名前と最終服用時刻を確認
診察券
かかりつけ医療機関を伝えやすく
持病・アレルギーのメモ
心臓病、糖尿病、抗凝固薬など
家族の連絡先
本人が話せない場合に備える
靴・最低限の持ち物
準備に時間をかけすぎない
高齢者・糖尿病のある方へ
強い胸痛がなくても、心臓病のことがあります
高齢者や糖尿病のある方では、胸の痛みがはっきりせず、「急な息切れ」「冷汗」「吐き気」「これまでにない強いだるさ」だけが現れることがあります。いつもと明らかに違う症状が急に出た場合は、軽く考えないでください。
迷ったときの判断の目安
危険な症状がある
迷わず119番
救急車か受診か迷う
救急安心センターおおさか #7119
夜間、子どもの急病で迷う
小児救急電話相談 #8000
救急車は不要だが受診先が分からない
大阪府救急医療情報センター 06-6693-1199
救急安心センターおおさか #7119 または 06-6582-7119(24時間365日)
救急車を呼ぶべきか、今すぐ受診すべきか、応急手当をどうするかなどを、医師の支援体制のもとで相談できます。緊急性が高いと判断された場合は、消防機関につながります。
小児救急電話相談 #8000 または 06-6765-3650(19時〜翌朝8時・年中無休)
夜間に子どもが急病になり、受診すべきか迷ったときの相談窓口です。看護職の相談員が対応します。
通信障害のときはご注意ください
令和8年4月1日から、携帯電話会社間で回線を一時的に融通し合う「非常時事業者間ローミング」が始まりました。ただし #7119 の短縮ダイヤルはこの対象外 です。通信障害が起きているときは、06-6582-7119(#8000 の場合は 06-6765-3650)におかけください。ご家族で番号を控えておくと安心です。
※意識がない、呼吸が苦しい、突然の麻痺や激しい胸痛など、明らかな危険サインがある場合は、#7119ではなく直接119番してください。
院長からのひとこと
「呼んでよいのだろうか」と迷う気持ちは、誰にでもあります。
しかし、心筋梗塞や脳卒中などは時間との勝負です。突然の強い症状や、いつもとは明らかに違う異変があれば、遠慮せず119番してください。
一方、判断に迷うときは #7119、お子さんのことなら #8000 という相談先があります。いざというときに慌てないよう、ご家族でも電話番号と危険なサインを共有しておきましょう。
医療法人弘徳会 にしおかクリニック 理事長 西岡 弘樹
緊急時はLINEや診療時間を待たず119番へ
体調についてのご相談はLINEではお受けできません。受診またはお電話をお願いいたします。
参考資料
- 総務省消防庁:令和8年度「救急の日」及び「救急医療週間」実施要綱
- 総務省消防庁:「救急車を上手に使いましょう ~救急車 必要なのはどんなとき?~」
- 大阪府:「大阪救急ナビ」
- 東大阪市:「救急車の適正利用を考えましょう」「救急安心センターおおさか」
- 東大阪市政だより 令和7年12月号「市民の安心安全のために 特集 救急救命」

