クリニックレター vol.154 9月21日「敬老の日・認知症の日」に考える その『もの忘れ』、年のせいだけですか?

内科・循環器内科・糖尿病内科・在宅診療 にしおかクリニック

お知らせ・コラム

NEWS AND TOPICS
  • HOME
  • お知らせ・トピックス
  • クリニックレター vol.154 9月21日「敬老の日・認知症の日」に考える その『もの忘れ』、年のせいだけですか?

お知らせ・コラム

クリニックレター

2026.09.15

クリニックレター vol.154 9月21日「敬老の日・認知症の日」に考える その『もの忘れ』、年のせいだけですか?

2026年9月21日は「敬老の日」であり、日本の「認知症の日」、国際的な「世界アルツハイマーデー」でもあります。9月は「認知症月間」です。
今年は9月19日(土)から23日(水)までのシルバーウィークです。家族で過ごす時間が増えるこの機会に、ご本人や身近な方の「いつもと違う変化」に目を向けてみましょう。

画像1.png

もの忘れがあっても すぐに認知症とは限りません

年齢とともに人の名前がすぐ出てこない、物をどこに置いたか思い出せない、といったことは誰にでもあります。大切なのは、忘れ方が変わってきたか、生活に支障が出ているかという点です。

加齢によるもの忘れの例

  • 朝食のメニューを思い出せない
  • 置き場所を忘れても後で見つけられる
  • ヒントがあれば思い出せることが多い
  • 日常生活への影響は少ない

認知症が疑われるもの忘れの例

  • 朝食を食べたこと自体を忘れる
  • 探し物が増え、誰かに盗られたと思う
  • ヒントがあっても体験を思い出しにくい
  • 服薬や支払い、料理などに支障が出る

※違いはあくまで目安です。一つの症状だけで認知症と決まるものではありません。

ご家族が気づきやすい六つのサイン

次のような変化が以前より目立つ、いくつも重なる、少しずつ進んでいる場合は、かかりつけ医へ相談する目安になります。

  1. 同じことを何度も言ったり聞いたりする
  2. 薬の飲み忘れや重複が増えた
  3. 日付や時間、場所が分かりにくくなった
  4. 慣れた料理や買い物、支払いが難しくなった
  5. 趣味や外出への関心が薄れた
  6. 以前より怒りっぽい、不安が強いなど性格や様子が変わった

本人より先に、家族が変化に気づくこともあります。 責めたり試したりせず、いつ、どのような場面で困ったかをメモしておくと、受診時に役立ちます。

画像3.png

軽度認知障害 MCI という段階があります

軽度認知障害(MCI)は、年齢相応より認知機能が低下しているものの、日常生活への支障はまだ大きくなく、認知症とは区別される状態です。経過や原因は人によって異なります。早めに状態を確認し、生活習慣を整えながら定期的にみていくことが大切です。

早めに相談する意味

もの忘れの背景には、認知症だけでなく、薬の影響、うつ状態、甲状腺の病気、ビタミン不足、脱水、睡眠の問題などが隠れていることもあります。原因を確認することで、治療や生活上の工夫につながります。
当院でもまずご相談をお受けし、症状やお薬、持病、生活の変化を確認します。必要に応じて専門医療機関と連携します。できれば普段の様子を知るご家族と一緒にお越しください。

画像4.png

認知症のリスクを下げるためにできること

2026年7月、世界保健機関(WHO)は認知機能低下と認知症のリスク低減に関する指針を更新しました。世界全体の推計では、認知症リスクの最大45%が、生活習慣や持病など変えることのできる要因に関連するとしています。これは「必ず予防できる」という意味ではありませんが、今日から取り組めることがあります。

血圧・血糖・コレステロールを整える

治療を中断せず、定期的に確認しましょう。

体を動かす

散歩や体操など、無理なく続けられる運動を習慣にします。

たばこをやめ、お酒を控える

禁煙と節酒は脳と血管の両方を守ります。

食事を整える

野菜、魚、大豆製品などを取り入れ、塩分を控えます。

人とつながり、頭を使う

会話、趣味、読書、地域活動などを続けましょう。

聞こえにくさを放置しない

聞き返しが増えたら、聴力の確認や補聴器について相談します。

画像5.png

心臓や血管を守ることは 脳の健康にもつながります

高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙は脳卒中の危険因子でもあります。お薬を自己判断で中断せず、家庭血圧や健診結果を確認しましょう。今の生活習慣を少し整えることが、将来の認知症リスクを下げる助けになります。

特別なサプリメントより 基本の健康管理を

WHOは、ビタミン欠乏が確認されていない人が、認知症予防だけを目的にビタミンB・E、オメガ3脂肪酸、総合ビタミン・ミネラルを日常的に補充することを推奨していません。まずは持病の治療、運動、食事、禁煙、社会参加を優先しましょう。

ご本人への声かけは やさしく具体的に

「認知症じゃないの?」と決めつけると、ご本人が不安になり、受診を拒むことがあります。「最近、薬が余っていることがあるね」「一度、健康チェックとして相談してみよう」と、困っている場面を具体的に伝え、一緒に受診する方法がおすすめです。

急な変化は認知症と決めつけないでください

数時間から数日で急に会話がかみ合わなくなった、ぼんやりしている、普段と全く違う行動をする場合は、感染症、脱水、薬の影響などによる「せん妄」の可能性があります。早めに医療機関へ相談してください。

突然、顔や手足の片側が動かしにくい、言葉が出ない、強い頭痛がある場合は、脳卒中の可能性があります。迷わず119番へ連絡してください。

まとめ

もの忘れがあっても、すぐに認知症と決まるわけではありません。ただし、日常生活に支障が出ている、家族が変化を感じる、症状が進んでいる場合は、早めの相談が安心につながります。
このシルバーウィークを、ご本人とご家族がこれからの健康を一緒に考える機会にしてみませんか。気になることがありましたら、診察時に遠慮なくご相談ください。

気づいたときが 相談のタイミングです

参考資料

一覧にもどる