クリニックレター vol.157「コロナワクチン、もう打たなくていい?」 ― 最新155本の研究からわかった、ワクチンの本当の効果と必要性 ―

内科・循環器内科・糖尿病内科・在宅診療 にしおかクリニック

お知らせ・コラム

NEWS AND TOPICS
  • HOME
  • お知らせ・トピックス
  • クリニックレター vol.157「コロナワクチン、もう打たなくていい?」 ― 最新155本の研究からわかった、ワクチンの本当の効果と必要性 ―

お知らせ・コラム

クリニックレター

2026.10.16

クリニックレター vol.157「コロナワクチン、もう打たなくていい?」 ― 最新155本の研究からわかった、ワクチンの本当の効果と必要性 ―

「インフルエンザの予防接種は受けるけど、コロナワクチンはもういいかな...」

最近、診察室でもこのようなお話を耳にする機会があります。

新型コロナが5類感染症となって3年以上。以前ほどニュースで取り上げられることもなくなり、「もう普通の風邪と同じでは?」と思われている方も多いかもしれません。

では、本当にコロナワクチンは、もう必要ないのでしょう今もワクチン接種を考えたいのは、どんな人??

2026年9月、世界的に権威のある医学誌『JAMA』に、155本の研究をまとめた最新の報告が発表されました。

今回は、この研究をもとに、新型コロナワクチンの「今」をわかりやすく解説します。

新型コロナは、もう怖くない病気になった?

現在の新型コロナは、流行初期と比べると、免疫の獲得や治療の進歩などによって重症化リスクが変化しています。

多くの方は比較的軽い症状で回復します。しかし、すべての方にとって軽い病気になったわけではありません。

特に注意が必要なのは、

  • 65歳以上の高齢者
  • 糖尿病や心臓病、慢性腎臓病などの持病がある方
  • 免疫機能が低下している方
  • 妊娠中の方

です。

アメリカでは、2024〜2025年の流行シーズンに、新型コロナによる入院が約29万〜45万人、死亡が約3万4千〜5万3千人と推計されています。

新型コロナは、今も重症化しやすい方にとって注意が必要な感染症なのです。

2026年9月に発表された研究では、約1万1,800件の文献から基準を満たした155本を選び、ワクチンの効果や安全性などを検証しました。

その結果、流行しているウイルスに対応した新しいワクチンには、現在も重症化を防ぐ効果があることが確認されました。

主な研究結果

  • 65歳以上:入院リスクが約53%低下
  • 18〜64歳:入院リスクが約54%低下
  • 妊娠中の方:救急受診リスクが約58%低下
  • 免疫機能が低下している方:集中治療室への入室・死亡などのリスクが約32〜53%低下

※対象や調査した流行シーズンは研究ごとに異なります。また、主に海外の研究に基づく結果であり、日本のすべての方に同じ効果が当てはまるとは限りません。

ここで大切なのは、「53%」という数字の意味です。

例えば、同じ条件の方で、ワクチンを接種していない場合に1,000人中100人が入院すると仮定すると、接種した場合には約47人に減る、というイメージです。

これは実際に1,000人中100人が入院するという意味ではなく、入院するリスクを相対的に約半分に減らすということです。

もちろん、接種しても感染することはあります。

現在のコロナワクチンで特に期待されているのは、感染を完全に防ぐことよりも、重症化・入院・死亡を防ぐことなのです。

画像1.jpg

今もワクチン接種を考えたいのは、どんな人?

以前のように、すべての方が一律に接種するという考え方ではなく、現在は年齢や健康状態に応じて必要性を考えることが重要になっています。

特に接種をおすすめしたい方

● 65歳以上の方

年齢が上がるほど、感染したときの入院や重症化のリスクが高くなります。特に75歳以上の方は注意が必要です。

● 糖尿病・心臓病・腎臓病などの持病がある方

基礎疾患があると、感染をきっかけに全身状態が悪化することがあります。年齢だけでなく、持病の状態も含めて接種を考えましょう。

● 免疫機能が低下している方

抗がん剤や免疫抑制薬を使用している方などは、感染が長引いたり、重症化したりする可能性があります。

● 妊娠中の方

研究では、妊婦さん自身の救急受診が減少し、生まれた赤ちゃんにも一定の予防効果が認められました。

一方、健康な若い方では重症化する危険性が比較的低いため、追加接種による利益、副反応、これまでの感染歴などを踏まえて判断することが大切です。

画像2.jpg

ワクチンの安全性と副反応について

ワクチン接種をためらう理由として、副反応への心配は少なくありません。

主な副反応には、接種部位の痛み、発熱、だるさ、頭痛などがあります。多くは数日以内に改善します。

また、まれではありますが、心筋炎や心膜炎などの副反応も報告されています。特に若い男性では注意が必要とされています。

今回の155本の研究をまとめた報告では、これまでに知られていなかった新たな安全性上の懸念は確認されませんでした。

ただし、これは「副反応が全くない」「すべての人に安全が保証されている」という意味ではありません。

ワクチンの効果と副反応のリスクを比較し、一人ひとりに合った判断をすることが大切です。

mRNAワクチン以外の選択肢もあります

新型コロナワクチンには、mRNAワクチンとは異なる仕組みで作られた「組換えタンパクワクチン」もあります。

その一つが、ヌバキソビッドです。

臨床試験では、発熱などの全身性副反応が比較的少ないことが報告されています。ただし、副反応が全くないわけではなく、まれな重い副反応にも注意が必要です。

当クリニックでは、ヌバキソビッドによる接種にも対応しています。

これまでの副反応が気になる方や、ワクチンの種類について相談したい方は、お気軽にお声がけください。

画像3.jpg

インフルエンザは打つのに、コロナは打たなくていい?

インフルエンザと新型コロナは、どちらも高齢者や持病のある方では重症化する可能性がある感染症です。

予防接種の目的も共通しています。

それは、感染したときに重症化する危険を少しでも減らすことです。

過去にコロナワクチンを何度も接種した方や、実際に感染したことがある方でも、時間とともに免疫による防御効果は低下します。

ウイルスも少しずつ変化しているため、現在の流行株に対応するよう更新されたワクチンを接種する意味があります。

2026年度も、65歳以上の方などを対象とした定期接種が行われています。

インフルエンザと新型コロナのワクチンは、医師が接種可能と判断すれば同じ日に受けることもできます。

画像4.jpg

院長からのメッセージ

新型コロナワクチンに対する考え方は、この数年で大きく変わってきました。

「以前、何度も打ったからもう十分」「最近は軽く済むと聞くから必要ない」

そう考えるお気持ちも理解できます。

しかし、最新の医学研究からは、特に高齢者や持病のある方にとって、今もワクチンが重症化を防ぐための大切な選択肢であることが示されています。

一方で、すべての人が同じように接種する必要があるわけではありません。

大切なのは、周囲が打つかどうかではなく、ご自身の年齢や健康状態から、接種するメリットを考えることです。

「今年も接種した方がいいのかな?」と迷われている方は、どうぞ診察時にご相談ください。

画像5.jpg

医療法人弘徳会 にしおかクリニック
院長 西岡 弘樹

参考文献・資料

  1. Lipson RA, et al. COVID-19 Vaccine Effectiveness and Safety for the 2026-2027 Respiratory Season. JAMA. Published online September 2, 2026. doi:10.1001/jama.2026.18191
  2. 厚生労働省「新型コロナワクチンについて」(令和8年度)
  3. 日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会「2026年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解」(2026年9月1日)

一覧にもどる