クリニックレター vol.160 「そのサプリ、本当に体にいい?」 ― 「天然由来だから安心」は本当? 知っておきたいサプリメントとの正しい付き合い方 ―

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クリニックレター

2026.11.02

クリニックレター vol.160 「そのサプリ、本当に体にいい?」 ― 「天然由来だから安心」は本当? 知っておきたいサプリメントとの正しい付き合い方 ―

「健康のために、毎日マルチビタミンを飲んでいます!」

「風邪をひかないように、ビタミンCを積極的に摂っています!」

「薬は副作用が怖いけれど、天然由来のサプリメントなら安心!」

診察室でも、このようなお話を伺うことがあります。

最近では、ドラッグストアやインターネット、SNSなどを通じて、さまざまなサプリメントや健康食品を手軽に購入できるようになりました。

健康に関心を持ち、日頃から栄養に気を配ることは、とてもよいことです。

しかし、ここで一つ知っておいていただきたいことがあります。

「体によい成分」であっても、必要以上に摂取すれば、かえって健康に悪影響を及ぼすことがあるのです。

今回は、意外と知られていないサプリメントの注意点と、本当に役立つ場合についてご紹介します。

マルチビタミンやビタミンC、毎日飲んだ方がいい?

健康維持のために、マルチビタミンやビタミンCを習慣的に摂取されている方も多いと思います。

しかし、栄養素は「たくさん摂れば、さらに健康になる」というものではありません。

例えば、ビタミンCは免疫機能やコラーゲンの形成に必要な栄養素ですが、十分に摂取できている方が、さらに大量に摂ったからといって、風邪を確実に予防できるわけではありません。

また、高用量のビタミンCを摂取すると、下痢や腹痛などの胃腸症状が出ることがあります。

マルチビタミンについても同様です。

複数のビタミンをまとめて補給できる便利さはありますが、バランスのよい食事を摂れている方にとって、必ずしも必要とは限りません。

「飲んでいるから健康」ではなく、「自分に本当に必要な栄養素なのか」を考えることが大切です。

ビタミンにも副作用がある?

ビタミンやミネラルは、私たちの体に欠かせない栄養素です。

しかし、一部の成分は過剰に摂取すると健康被害につながることがあります。

代表的な例をご紹介します。

栄養素

過剰摂取による主な問題

ビタミンA

肝機能障害など

ビタミンD

高カルシウム血症、腎機能障害など

ビタミンB6

長期間の高用量摂取による末梢神経障害

鉄

胃腸障害、鉄過剰症など

ビタミンC

高用量摂取による下痢、腹痛など

特に注意したいのは、複数のサプリメントを併用している場合です。

例えば、マルチビタミンに加えて、ビタミンDやカルシウムのサプリメントを飲んでいると、知らないうちに同じ成分を重複して摂取してしまうことがあります。

サプリメントも、種類・量・組み合わせによっては体に負担をかけることがあるのです。

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「天然由来」だから、薬より安全?

これは、今回特にお伝えしたいポイントです。

「天然成分100%」

「植物由来だから安心」

「自然の力で健康に」

こうした言葉を見ると、何となく体に優しく、副作用も少ないように感じませんか?

しかし、天然由来であることと、安全であることは別問題です。

植物や天然物にも、体に強く作用する成分や、有害な成分が含まれていることがあります。

さらに、サプリメントは通常の医薬品とは異なり、製品ごとに有効性や安全性が国によって審査されているわけではありません。

「薬は怖いから、代わりにサプリメントを飲もう」

そのように自己判断してしまうことには注意が必要です。

医薬品には副作用のリスクがありますが、承認された医薬品では、有効性・安全性・品質について一定の審査が行われています。

一方、健康食品だからといって、副作用がないわけではありません。

「天然だから安心」「薬ではないから安全」という思い込みは、ぜひ見直していただきたいと思います。

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「機能性表示食品」は国が効果を認めた食品?

最近、スーパーやドラッグストアで「機能性表示食品」という表示をよく見かけます。

「血圧が高めの方に」

「内臓脂肪を減らすのを助ける」

「睡眠の質を改善する」

こうした表示があると、国が効果を保証しているように感じるかもしれません。

しかし、機能性表示食品は、事業者が科学的根拠などを消費者庁に届け出る制度です。

国が製品ごとに効果や安全性を審査して許可したものではありません。

2024年には、紅麹関連製品による健康被害が大きな社会問題となり、その後、機能性表示食品の制度も見直されました。

大切なのは、商品の宣伝文句だけで判断しないことです。

「機能性表示食品だから安心」「飲めば病気が治る」と考えないようにしましょう。

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薬とサプリメントの飲み合わせにも注意!

サプリメントは、服用している薬の働きに影響することがあります。

例えば、

  • ビタミンK:ワルファリンの効果を弱めることがあります。
  • 高用量のビタミンE:抗凝固薬などとの併用で、出血の危険性が高まる可能性があります。
  • セントジョーンズワート:一部の心臓病治療薬など、多くの医薬品の働きに影響することがあります。
  • カルシウム:一部の骨粗鬆症治療薬などの吸収を妨げることがあります。

特に高血圧、糖尿病、心疾患などで複数のお薬を服用されている方は注意が必要です。

「健康食品だから、医師に伝えなくても大丈夫」ということはありません。

現在服用しているサプリメントも、ぜひ診察時にお知らせください。

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サプリメントが本当に役立つ場合もあります!

ここまで注意点をお伝えしてきましたが、決してサプリメントそのものが悪いわけではありません。

実際の診療でも、年齢や体の状態によっては、積極的に栄養補充を勧める場合があります。

代表的なものを3つご紹介します。

① 妊娠を希望する女性には「葉酸」

葉酸は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすために重要な栄養素です。

妊娠を計画している段階から妊娠初期にかけて、通常の食事に加え、サプリメントなどから1日400µgの葉酸を摂取することが推奨されています。

妊娠が分かってからではなく、妊娠前から摂取を始めることが大切です。

② 鉄分が不足している女性には「鉄」

月経量の多い女性や妊娠中の女性では、鉄分が不足しやすくなります。

鉄分が不足すると、疲れやすさ、動悸、息切れ、めまいなどの症状が現れることがあります。

鉄には、肉や魚に含まれる吸収されやすい「ヘム鉄」と、植物性食品などに含まれる「非ヘム鉄」があります。

鉄不足がある方では、食生活の改善に加え、鉄分の補充が役立つ場合があります。

ただし、明らかな鉄欠乏性貧血がある場合には、原因を調べたうえで適切な治療を受けることが重要です。

③ 骨粗鬆症や栄養不足のある高齢者には「ビタミンD」

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の健康を維持するために重要な栄養素です。

特に、骨粗鬆症がある方、食事量が少ない方、日光に当たる機会が少ない高齢者などでは、ビタミンDの補充が役立つ場合があります。

ただし、健康な高齢者全員にサプリメントが必要というわけではありません。

過剰摂取による健康被害にも注意が必要です。

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このように、サプリメントは**「必要な人が、必要な栄養素を、適切な量で摂取すること」**に意味があります。

不足している栄養素を補うことと、十分足りている栄養素をさらに大量に摂ることは、まったく別なのです。

にしおかクリニックからのお願い

健康に関心を持ち、サプリメントを利用されること自体は、決して悪いことではありません。

しかし、健康のためによかれと思って飲んでいるものが、かえって体に負担をかけてしまっては本末転倒です。

そして、忘れないでいただきたいことがあります。

健康づくりの基本は、「バランスのよい食事」「適度な運動」「十分な睡眠」です。

サプリメントは、これらの代わりになるものではありません。

また、必要な栄養素は、年齢、性別、食生活、持病、服用中のお薬などによっても異なります。

「今飲んでいるマルチビタミンは必要?」

「ビタミンCは毎日飲んでも大丈夫?」

「薬と一緒に飲んでも問題ない?」

そんな疑問があれば、ぜひ診察時にお気軽にご相談ください。

商品名が分からない場合には、サプリメントのパッケージや成分表示をお持ちいただいても構いません。

「何となく体によさそうだから飲む」のではなく、「自分に本当に必要かどうか」を考えてみませんか?

正しい知識を持って、サプリメントと上手に付き合っていきましょう。

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医療法人弘徳会 にしおかクリニック

理事長・院長 西岡 弘樹

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