クリニックレター
2025.12.01
クリニックレターvol.129. 冬は血圧が"跳ね上がる"?寒さと朝の血圧サージにご用心
10月のクリニックレター(vol.124)では、**「治療で目指す血圧は外来130/80mmHg未満・家庭では125/75mmHg未満」**という、新しい高血圧ガイドライン(JSH2025)の内容をご紹介しました。nishioka-clinic.info
今回は同じ「血圧」でも、季節を"冬"に絞った実践編です。
- なぜ冬は血圧が上がりやすいのか
- 朝の"血圧サージ"とは何か
- 具体的にどんな食事・生活を意識したらいいか
を、わかりやすくまとめました。
1.冬に血圧が上がりやすい理由
寒さで血管がキュッと縮む
寒いところに出ると、体温を守るために血管が縮み(収縮し)血圧が上がりやすくなります。
特に、
- 暖かいリビング → 寒いトイレ
- お風呂上がりに寒い脱衣所
- 早朝の冷え込んだ玄関や屋外
など、急に寒さを感じる場面では、血圧がグッと変動します。
こうした冬の寒さと血圧の関係は、多くの研究でも
**「冬は夏より朝の血圧が高くなり、心筋梗塞や脳卒中など心血管イベントが増えやすい」**ことが報告されています。AHA Journals+2PMC+2
朝の"血圧サージ"が冬に強くなる
朝起きるころは、
- 交感神経(体を"活動モード"にする神経)が活発になる
- ホルモンの働きで血圧が自然に上がる
時間帯です。
この **「起床後に血圧が一気に上がる現象」を、医学的には"朝の血圧サージ(morning BP surge)"**と呼びます。AHA Journals+1
ここに冬の寒さが重なると、
- 朝の血圧の上がり方がより急になる
- その結果、脳卒中・心筋梗塞などを起こしやすい「危ない時間帯」になりやすい
と考えられています。厚生労働科学研究成果データベース+1
特に注意したい方
- 高血圧と診断されている方
- 血圧の薬を飲んでいる方
- 過去に脳卒中・心筋梗塞を起こしたことがある方
こうした方は、冬の朝の血圧を意識してチェックすることが、とても大切です。
2.冬こそ「家庭血圧」125/75mmHg未満を意識
新しいガイドライン(JSH2025)では、
**家庭で測る血圧(家庭血圧)の目標が「125/75mmHg未満」**と示されています。nishioka-clinic.info
10月号では、
- 「なぜ目標が変わったのか」
- 「診察室血圧と家庭血圧の違い」
を詳しくお伝えしましたが、今回は冬向けのポイントに絞っておさらいします。
冬の家庭血圧チェックのコツ
- 朝
o 起床後1時間以内
o トイレのあと
o 朝食前・薬を飲む前に 1〜2回 - 夜
o 寝る前に 1〜2回 - イスに座って1〜2分安静にしてから、上腕式の自動血圧計で測る
**「冬の1〜2週間だけでも、朝と夜を記録してみる」**と、
- 夏との違い
- 平日と休日の違い
が見えてきます。
特に 朝の上の血圧(収縮期)が135mmHg以上の日が続く場合は、
一度ご相談いただくと安心です。Nature+1
3.具体的な減塩:どんなものに、どれくらい塩が入っている?
高血圧の方の減塩目標は、1日 食塩6g未満とされていますが、
日本人の平均摂取量は、依然として10g前後と報告されており、まだまだ多いのが現状です。PubMed+1
「6gと言われてもピンとこない...」という方のために、
身近な食品にどれくらい塩分が入っているかを具体的に見てみましょう。
調味料・汁もの
※数値はおおよその目安です。
しょうゆ 小さじ1(約6g)
→ 約0.9〜1.0gの食塩city.kochi-konan.lg.jp+1
味噌汁 1杯(約180g)
→ 約1.0〜1.5gの食塩味噌の百貨店|ドットミソ+2hanamaruki.co.jp+2
和風ドレッシング 大さじ1
→ 0.7〜1.1g前後の食塩が入っていることもありますcity.kochi-konan.lg.jp
味噌汁2杯+しょうゆを何度かかけるだけで、
1日の目標6gの半分以上 を使ってしまうこともあります。
冬に多い「塩分多めメニュー」
カップ麺 1個(スープまで飲んだ場合)
→ 約4〜7gの食塩完全栄養食のベースフード+1
外食ラーメン 1杯
→ 約6g前後と言われていますmuen-genen.com
鍋のスープ・麺のつゆ
→ つゆを飲み干すと、それだけで数gの塩分になることも
「あったかいから」と汁物が増える冬は、知らないあいだに塩分オーバーになりがちです。
4.今日からできる"冬の減塩術"
10月号では、血圧全体のガイドラインと生活習慣を広くご紹介しました。
ここでは、**冬の食卓で特に使いやすい「具体的な減塩の工夫」**に絞ってご紹介します。
① 汁物は「1日1杯まで」「汁は残す」
- 味噌汁・スープ類は1日1杯を目安に
- ラーメン・うどんなどのスープは全部飲まずに残す
だけで、1〜3g以上の減塩になることもあります。宝塚市+1
② 鍋料理は「具を楽しんで、スープは控えめに」
冬は鍋料理が増える季節です。
- 具はたっぷりの野菜・豆腐・魚・肉を楽しみ、
- シメの雑炊・麺にスープを入れすぎない
- 濃い市販の鍋つゆは、水やだしで少し薄める
といった工夫だけでも、かなりの塩分カットになります。
③ しょうゆは「かける」より「つける」
- しょうゆは 「かける」から「つける」へ
- 小皿に少量出して、魚・冷ややっこ・おひたしに「チョンとつける」ようにする
と、いつもの感覚のまま使用量を自然に半分以下にできるケースも多いです。kenko.pref.fukuoka.lg.jp
④ 「だし」「香り」「酸味」で"薄味でも満足"
- かつお・昆布・いりこなどのだしをしっかり効かせる
- 柚子・レモン・かぼす・ゆずこしょうなどの香り・酸味をプラス
- 七味や山椒、しょうが・にんにくなどの香味野菜も活用
こうした工夫をすると、塩分控えめでも「味が物足りない」と感じにくくなります。
⑤ 「減塩しょうゆ」「減塩みそ」を上手に使う
最近の減塩調味料は、味もかなり良くなっています。
「普段と同じ量を使っても、塩分は3〜5割カット」という商品もあり、無理なく続けられる減塩の第一歩になります。a-ruesu.co.jp+1
5.冬を安全に乗り切るために
冬の血圧管理のポイントをまとめると:
1. 朝の血圧サージに注意
- 冬の朝は、暖房で部屋を少し温めてから起きる
- 起きてすぐに寒いトイレ・浴室に行かない
- 早朝の屋外ウォーキングは、気温や服装に十分注意する
2. 家庭血圧 125/75mmHg未満を"冬こそ"意識
- 朝・晩の血圧を1〜2週間測ってみる
- 「冬になると明らかに上がる」という方は、一度ご相談を
3. 減塩は「ガマン」より「工夫」
- 汁物は1日1杯まで、スープは残す
- しょうゆはつける、だしと香りで薄味でも満足
- 減塩調味料も上手に活用
にしおかクリニックでは、
- 冬の血圧の変化が気になる方
- 家庭血圧のつけ方や目標値について相談したい方
- 減塩や食事の具体的な工夫を知りたい方
のご相談を随時お受けしています。
「この冬も、脳と心臓を守りながら元気に過ごせるように」、一緒に血圧コントロールを考えていきましょう

